第982冊目  その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』 [単行本]矢野香 (著)  

その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

瞬きをこらえる場面とは


心理学の世界において「瞬き」は、心理的な要因で変化する生理心理学的指標として一般的です。嘘をついたり、動揺したりしているときは、瞬きが増えます。

私はニュースの冒頭、概要を伝える「リード」と呼ばれる部分で、自分の顔がアップで映っているときは、瞬きをしないように心がけています。時間にしてわずか30秒ほどです。それくらいの短時間でも無意識でいると瞬きをしましまうのです。反面、意識しておけば瞬きをしないでいることは簡単です。

ぜみ皆さまも、ここぞ、という30秒で瞬きを我慢してみてください。

自己紹介の冒頭、自分の名前を名乗る30秒。
名刺交換をして自分の名前を名乗る30秒。
相手の話を一生懸命に聞いていることを伝えたい30秒。

そのときだけ、瞬きを我慢するのです。

アイコンタクトを取らなければならない、というのは皆さんご存じのことです。

しかし、目線は相手に向けていても、瞬きをしている方がなんと多いことか。アイコンタクトを取ろうとしたとき、相手とちゃんと目が合っていますか。

印象形成の実験においても、スピーチをするときに瞬きの回数が増えると、落ち着きのなさ、情緒の不安定さを印象づけるという結果が報告されています。

面白い実験としては、職業別に瞬きの多い人についての印象を調査した例もあります。

その結果、瞬きが多いと一番印象を悪くしたのは政治家でした。

しかし、瞬きが多い方が好感を持たれた職業があったのです。それは、どんな職業でしょうか。

答えは、お笑い芸人です。

あなたが他人に与えた印象は政治家に近いですか。それともお笑い芸人に近いですか。瞬きを多くするべきか、少なくするべきか。その答えは、この結果をもとにご自身で選んでください。

また、相づちを打つとき「あー、はい、はい、はい」「なるほど、なるほど、というように同じ言葉を2回以上、繰り返していませんか。

こうした同じ言葉の繰り返しも、軽い印象を与える要因となる悪癖です。「はい」は1回、「なるほど」も1回です。

頷きや瞬き、言葉の繰り返しという絶えず動くクセは、完全に自分がつくってしまったリズムです。そうすることに慣れてしまい、今やそのほうが楽で心地が良いのです。従って、意識的に矯正しなければなりません。無駄な動きを抑えることで安定感が表現でき、その重みが信頼感へとつながります。