第926冊目  一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫) [文庫]アンソニー・ロビンズ (著), 本田 健 (翻訳)

一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫)

一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫)


疲れた時こそ?胸を張る?!


疲れた時に、肩を落とし、大きな筋肉の力を抜いてやると、「疲れた」というメッセージが脳に送り続けられ、本当に疲れた気になる。

しかし、姿勢をしゃんとし、気持ちを奮い立たせて疲れていないと思えば、内面的イメージも変わり、疲れの感じ方にも変化が起こる。

「疲れた、疲れた」と思っていると、どこまでいっても疲れたままだ。しかし、てきぱきと仕事を片づける力が自分にあると口に出し、意識面でもそのとおりの調整を行えば、身体もそうなっていく。生理学的な変化が精神状態をも変えるのである。

今日、科学の世界では、病気か、健康か、あるいは元気いっぱいか、落ち込んでいるかは、「自分で選べる」というのが常識となりつつあるようだ。

「楽しくやるより、憂鬱になりたい」と、口に出して言う人はいないが、ここで落ち込んでいる人の行動について考えてみよう。

落ち込んでいる人には、非常に明確な特徴があるので、ひと目見ただけで、それとわかる。

まず、歩く時は舌を向いている(彼らは体感覚を重視し、気が滅入る話だけを自分に語りかける)。肩を落とし、息は弱く、浅い。肉体をうつの状態に追い込むことばかりする。

うれしいことに、高揚感を味わうのも簡単だ。私なら、内面的イメージにはまったく手を加えず、うつ状態を一瞬にして変えることもできる。

背筋を伸ばして立ち、胸を張り、腹の底から深く呼吸し、顔を上げ、身体を動かしていれば、落ち込んでなどいられなくなる。それが能力を発揮するための生理なのだ。

あなたの脳には、精神的に力を発揮しろというメッセージが届けられ、身体はそのとおりになっていく。

あれができない、これができないと訴えてくる人には、「できるようなふりをしなさい」と助言すればいい。するとたいていは、「どうしたらいいか、わかりません」という答えが返ってくる。

そうしたら、「どうしたらいいのかわかっているように行動しなさい。やり方がわかっているような立ち方をし、やり方がわかっているような息のしかたをするんです。今すぐにでもできるような顔をしなさい」と言う。

その人がまさにそういうふうに立って、息をし、生理機能をそいういう状態にすると、たちまち自分にもできるような気がしてくる。たったこれだけのことで、精神状態に変化が起きるからだ。

自分にはできないけれど、できるようになりたいことを思い浮かべてみよう。もしそれができたとしたら、あなたはどういう立ち方をするだろう。話し方は? 息のしかたは?

理想の自分、理想の生理状態を思い浮かべ、それに合わせて姿勢を正し、呼吸を整え、表情をつくって、最初の状態と比較してみよう。その違いには注目すべきものがある。

理想的な状態を一貫して継続することで、できるわけがないと思っていたことも、「まるで」できるような気がしてくるはずだ。