第927冊目 武器としての決断思考 (星海社新書) [新書]瀧本 哲史 (著)
- 作者: 瀧本哲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/22
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就職試験では何を言うべきか?
前問では、「相手の立場を理解する」ということが大切だとお伝えしましたが、そう考えれば、就職活動もどんなふうに考えて取り組めばいいか、はっきりしてくると思います。
続いて、つぎの問題を考えてみてください。
練習問題
就職活動の面接ではよく「自己紹介」や「志望動機」の説明が求められます。しかし実際には、「学生時代は合コンと麻雀ばかりしていました」というような「本当の自己紹介」や、「給料が高くて休みも取れるからです」というような「本当の志望動機」を説明すると、落ちてしまうのがふつうです。
それでは、就職活動ではどのような視点で自己紹介、志望動機を述べればいいでしょうか?
就職の面接では「本当の自分はこういう人です」「本当はこういった理由で御社に入りたいんです」と言ってはいけません。
面接官もそんなことは聞きたいと思っていません。
だから、「嘘」と言っては言い過ぎですが、企業側が求める視点で、自己紹介、そして志望動機を説明しなければなりません。
エントリーシートをいくら送っても落ち続けるという学生に話を聞いてみると、このことについてまったくわかっていないことがよくわかります。彼らは「本当の自分」「本当の志望動機を書かなければならないと思い込んでいる。だから落ちてしまうのです。
そうではなく、エントリーシートならば「企業が自分を欲しがるように、どこがアピールポイントになるかを考えて書く」ことが大切です。
自己紹介をするのは自分を理解してもらうためではなく、相手が欲しくなる理由を提示するためです。
志望動機も、自分の志望の理由ではなくて、相手側が自分を欲しくなる理由を、あたかも自分の志望動機であるかのように「偽装」して話すことが大切なわけです。
ですから、就職活動で大事なのは、自分をわかってほしい、自分に合った会社に採用してほしい、という視点ではありません。
「この学生を採用しなければ、うちの会社が損をするかもしれないな」と相手に思わせること。就活デモの問題とまったく同じように、自分ことではなく、やはり相手の立場、相手の利害関係に着目しなければならないのです。