第925冊目 考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則 [単行本]バーバラ ミント (著), Barbara Minto (原著), 山崎 康司 (翻訳), グロービスマネジメントインスティテュート
- 作者: バーバラミント,Barbara Minto,山崎康司
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1999/03/01
- メディア: 単行本
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初心者への注意
ピラミッド3つの鉄則のおかげで、ピラミッドのどこのメッセージから出発しても、他のすべてのメッセージを見出すことができます。しかし、基本的には、トップダウンでいくかボトムダウンでいくかどちらかを選びます。これまで、どのようにしてピラミッドを作るかについて、できるかぎり一般的な形で正確に説明するように努めてきました。しかし実際、そのやり方には無限の可能性があり、当然さまざまな疑問が出てくるかと思います。以下、ピラミッド・プリンシナプル初心者から出る共通の疑問について、その答えを記してみました。
1.まず、トップダウン型に考えを構成することから始めなさい。
構成はいくらでも後で修正できます。しかし文書はそれを活字にしたとたんに、まるで黄金の彫刻を彫り上げたときのように、素晴らしく美しいでき映えに見えるのです。たとえ必要であっても後でそれに修正を加えるには大変な勇気を要します。ときにかく、すべての文書を「いったん書き上げてみる」というやり方は絶対にやめてください。たとえ、実際には自分の考えが支離滅裂にしか表現されていなくても、いったん、ワープロできれいに仕上がったものを見ると、ついそれを気に入ってしまうからです。
2.導入部を考える際には、「状況」をそのスタートポイントとして利用しなさい。
「状況」「複雑化」「疑問」、そして「答え」といった具合に、導入部で書くべきさまざまな要素が明らかになれば、実際の文書ではこれらの構成要素を効果に応じて好きな順序に配列してまったくかまいません。配列の仕方によって文書のトーンがかわってくるわけですが、文書によってそのトーンを変えたいと思うのはむしろ当然のことです。それでも、やはり守らなければならないのは、考える際には常に「状況」からスタートするということです。こうすることで初めて、正しい「複雑化」や「疑問」へと自分の考えを進めていくことができるからです。
3.導入部を考えることを省略してはなりません。
よくあることですが、いざ書こうとして頭の中で主ポイントを思い浮かべると、そこからの「疑問」は明白なものに思えます。そこで、いきなり「キーライン」に跳んで主要ポイントから生じる「新しい疑問」に答えようとしがちです。でも、この誘惑に負けないでください。導入部を考えることを省略すると、本来は導入部の「状況」や「複雑化」に属するべき情報と、本文中で述べるべきメッセージとの区別がつかなくなります。その結果、本文自体で複雑で長ったらしい展開となり、結局身動きが取れなくなってしまいます。導入部で記すべき情報をまず抜き出してください。そうすることで、これから伝えようとするメッセージのみに集中できるのです。