第900冊目  小泉進次郎の話す力 [単行本(ソフトカバー)]佐藤綾子 (著)

小泉進次郎の話す力

小泉進次郎の話す力

爆発から説得へと声を変える

声の出し方も政治家は、伝える内容によって大きく変えていく必要があります。今回、私は詳細に小泉純一郎氏と進次郎氏の声の分析を科学として綿密にしてみて、これもまた面白いことに気づきました。

現在、小泉進次郎氏が出している高くて透明なよく通る声、国会討論の場などでは野次に負けまいとして大声を張り上げている時の声、これは父である小泉純一郎氏が政界を引退する頃にしていた発声法とはまるで違うやり方です。

攻めてく時の爆発型の、声のボリュームを大きくし、トーンを高くしてたたみかける発声法がもっともふさわしく、トップの座に就いたら、大声を張り上げたり爆発的な発声の仕方をするよりは、聞いた人が「そうだ、そのとおりだ」と説得される声の出し方に変えたほうがいいのです。

オバマは、見事にそれをやりました。二〇〇四年のchangeやhopeを呼びかけた演説のDVDと二〇〇九年一月二〇日の大統領就任演説を比べると、彼の発声法が変わっていることがわかります。爆発から説得へと声を変えたのです。

たしかに政治家には大きな声が必要ですが、いつもがなり立てていれば、これがモノトーンとなって、人々の心に意味が入っていきません。

もちろんその反対で、仙石由人氏のようにただ淡々と小さな声でつぶやいているのでは、まったくもって論外で、これもまた心に入っていきません。

爆発と説得、この二つのキーワードをどこに配置して自分を組み立てていくか。政治家だけでなく、人前でスピーチをする人全員にとっても大きなポイントだと言えます。