第891冊目 スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫 [文庫]サミュエル スマイルズ (著), 竹内 均 (翻訳)
- 作者: サミュエルスマイルズ,Samuel Smiles,竹内均
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2002/03/21
- メディア: 文庫
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「努力でクマも踊りだす」
音楽やバレエの分野でも同じことがいえる。
たとえばバイオリン一つをとっても、ひきこなすには長年にわたる血のにじむような練習が必要である。名バイオリニスト、ジアルディーニは、すぐれたテクニックを身につけるまで20年の間。1日12時間の練習を欠かさなかったという。
また、「努力でクマも踊りだす」といういいまわしがフランスにあるが、同じことで端役ダンサーが洗練された身のこなしを体得して脚光を浴びるまでにはほとんど報われないようなつらい努力を何年も続けなくていけない。
バレリーナとして名高いタリオーニは、舞台当日にも父親かや猛レッスンを受けていた。そして疲労のあまり昏倒し、意識不明のまま手当てを受けたことが幾度もあったという。観客を魅了する彼女の踊りは、このような代書の上に花開いたものである。
人間の進歩の速度は実にゆっくりしている。偉大な成果は、決して一瞬のうちに得られるものではない。そのため、一歩ずつでも着実に人生を歩んでいくことができれば、それを本望と思わなければならない。
「いかにして待つかを知ること、これこそ成功の最大の要諦である」とフランスの哲学者メストルも語っている。
作物を刈り取るには、まず種をまななくてはならない。その後は、収穫の時期がくるのを忍耐強く待ち続ける必要がある。そして多くの場合、いちばん待ち望まれる果実ほど実を結ぶのはいちばん遅い。だから、一刻も早く成果を得ようなどとあせってはダメだ。東洋のことわざでもあるように「時間と忍耐は桑の葉をシュス(サテン)に変える」ものなのだ。