第879冊目  心を上手に透視する方法 [単行本(ソフトカバー)]トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)

心を上手に透視する方法

心を上手に透視する方法

ある?記憶力のいい?マジシャンのコミュニケーション術


ここまで書いたてきたように、たいていの場合、名前を呼ぶことで相手の心を開かせ、相手との距離を縮めることができる。これに関するもっとも重要で簡単アドバイスを、紹介しよう。

それは、たった今から、誰かと知り合いになるときには、初めて会ったその場で名前を覚えてしまうと決意すること。それだけだ。

お互い自己紹介するときに、もっと注意を払って、新しく知った名前をずっと記憶に留めようと努力する。そのことに百パーセント注意を払い、頭の中で名前をもう一度おさらいすれば、きっとその名前を記憶に留められるだろう。この簡単な方法なら、きっとあなたもうまくできるだろう。

もう一つ、名前(ファーストネーム)を記憶するのに効果的な方法がある。これも簡単だ。ついさっき知り合った人の横にいるそのときに知り合いの中から、その人と同じ名前の人のことを思い出すのだ。新しい知り合いの名前を覚えることは、ちょっとしたコツさえつかめば、さほど難しくない。

ここで、「相手との距離を縮める」というキーワードについて、一つ、とても効果的なエピソードがある。

アメリカになるマジシャンは、とても記憶力がいいことで有名だった。彼と知り合いになった誰もが、年末に彼から個人的なメッセージつきのクリスマスカードを受け取った。

メッセージには、会ったときに話したことの内容が必ず書かれていた、そのときに話題に上った家族の名前や、状況、知り合った場所、そのときのショーで話したことなど……これらすべてを、彼はさりげなくやってのけた。

一人ひとりについて、そんな細かいことを彼が覚えてたとはなかなか信じられない。カードを受け取った人はみんな感激し、このミステリアスなマジシャンのイメージは当然のことながらよくなった。

彼は実際、それほどまでに完璧な記憶力をもっていたのだろうか。いや、そんなことはない。彼はとても優れたトリックを使っていた。――彼は、誰かと知り合うとその日のうちにカードを書き、クリスマスの時期に発送したのである。なんてすばらしい!