第956冊目 「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール (ブルーバックス) [新書]藤沢 晃治 (著)


電話でのセールス


私は電話が嫌いです。電話は、状況とは無関係に即刻応答するよう強要するからです。

その点メールなら、都合のよい時間に応答すればよいので、発信でも受信でも、電話より負担を感じないですみます。他の人もそうだと思うので、仕事でも、メールですむことはメールでやり取りします。

電話嫌いな私が特別手嫌いする電話があります。それは休日くつろいでいる時にかかってくる、宣伝、勧誘の電話です。携帯電話の迷惑メールが話題になりましたが、休日の電話セールスの迷惑度は、迷惑メールの比ではありません。せっかくの休日のくつろぎ時間が、強制的に中断されてしまうのですから。

さらに問題なのはその話しぶりです。

「あなたの貴重な時間を私たちのために割いてください」と、本来「お願い」をしなければならないのが電話セールスですから、それなりの丁寧さがあってしかるべきです。ところが、電話セールスの多くは、相手に迷惑をかけている意識などまるでないかのように、ズケズケと話し始めます。

相手を冒頭で不愉快な気分にしてからお願いを始めるのですから、まったく愚かな方法といわざるを得ません。説明を聞くことを拒絶させようとするのですから、この手法も説明下手のりっぱな一例です。

少しでも配慮があれば、電話の冒頭でたとえばこんなふうに言うはずです。

「休日でおくつろぎのところ、電話で大変失礼致します。私どもは○○で、××とい業務をしております。五分ほどお時間をいただいてお話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」

もちろん、こうした配慮をしたとしても、多くの人が「興味ありません」と電話を切るでしょう。しかし、休日の勧誘電話が迷惑であることの認識さえない横柄で無礼な電話より、少しは話を聞いてくれる人は増えるはずです。