第791冊目 上達の法則 効率のよい努力を科学する 岡本浩一/著

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)

目次


第1章 能力主義と上達の法則
第2章 上達と記憶のしくみ
第3章 上達した人はどこが違うのか
第4章 上達の方法論―中級者から上級者になるステップ
第5章 スランプの構造と対策
第6章 上級者になる特訓法


深い模倣や暗唱をする


模倣は学習の基本である。最近の教育の風潮は、模倣を軽視してきたが、誤った風潮だと私は考えている。


『声に出して読みたい日本語』『「できる人」はどこがちがうのか』の著者として名高い斎藤孝氏も、生きる力のもっとも大切な力として「段取り力」「コメント力」と並べて「まねる力」をあげておられる。


精密トレーニングのひとつの手段として、深い模倣をすることが有効である。


文章に上達する方法として、昔から写文が有効だと言われる。夏目漱石を学ぼうと思えば、万年筆で原稿用紙に「草枕」の有名な冒頭などを書き写してみるのである。書く速度でゆっくりと文を味わってみると、読んでいたときには気づかないいろいろな文章上の苦心に気づく。わずか三十分書き写してみただけで、目から鱗が落ちる思いをすうはずである。たくさん書写しると、ああ、ここで漱石は一度休みをとったな、とか、ここで日が改まったのではないかなどということがおぼろげながら想像できるようになる。そしてその想像がだんだんはっきりしてくる頃、漱石の思考のリズムとでもいうべきものが身についてくるのである。不思議なことに、同じものを書写して人どうしがこういう話をすると、ここで休みをとったと想像する箇所がずいぶん類似しているものなのである。



あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉


「将棋は頭脳勝負」と言われ、「生まれ持った勘の良さや記憶力がすべて」と思われる方が多いかもしれませんが、実はそうではないんですよ。最後は勉強の「量」で差がつくものだと思っています。――渡辺明


編集後記



上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)