第758冊目 話し上手は「相づち」が9割 吉田たかよし/著

話し上手は「相づち」が9割 (宝島社新書)

話し上手は「相づち」が9割 (宝島社新書)

目次


第1章 ツキと成功を呼ぶ相づちパワー(田中角栄は相づちで政界のモンスターになった
有能な政治家ほど相づちを工夫する ほか)
第2章 人の心を動かす相づちの技術(今すぐにできる相づちの技術
話し手の気持ちを受け止めれば目標完遂 ほか)
第3章 会話をコントロールする相づち(話し手をコントロールする相づち
「大変だったね」は魔法の相づち ほか)
第4章 困ったときに使える裏ワザの相づち(会話を盛り下げる裏ワザの相づち
話し手の息継ぎは話を引き取るチャンス ほか)
第5章 相づち力で幸運と金運を呼ぶ(日本人は「しゃべりたがり屋症候群」にかかっている
情報のアンバランスを脳は嫌う ほか)


主語と述語を明確にする相づち


話を相づちの技術に戻しましょう。次に紹介したいのは、話が長い人を気持ちよく軌道修正してあげる相づちテクニックです。


読者のみなさんは、こう思ったことはないでしょうか。「話がヘタな人ほど、話しはじめると長い」と。なぜ話ベタな人ほど、話が長いのか。それは修飾語が多かったり、話の途中で別の話をはじめるからです。


一つの文章を長く話してしまうと、どうしても話の焦点が定まりにくくなります。すると、話し手は何とかしようと、余計に言葉を尽くして詳細に説明しようとするので、さらに主語と述語が入り乱れるようになります。聞き手はますます「何が言いたいんだろう?」という状態になってしまうわけです。


つまり、話しベタな人は、大筋の主語と述語の関係をあいまいなまま話す傾向があるため、文脈がつまみづらいのです。


本書は、「話し上手」になるための本ではないので詳しくは書きませんが、分かりやすい話し方をするための鉄則の一つは、なるべく修飾語を省いて、主語と述語だけの単純なセンテンスを多用することです。明快なセンテンスを順序よく積み重ねるようにすると、聞き手は楽に話の流れを追えるようになります。また、単純明快な「主語+述語」の日本語なら、聞き手が緊張状態に置かれていても、あるいは多少退屈していても、他の作業をしていても、確実にメッセージを伝えられます。


しかし、そんな話し方のテクニックを知っている人はあまりいません。私もアナウンサーという仕事をしなければ、知らなかったでしょう。したがって、単純明快な「主語+述語」の構文だけで話してくれる奇特な人にはあまりめぐり会えず、どうしても話の長い人と会話する機会がたびたび訪れることになります。


でが、そんな冗漫に話す人とは、どう会話すればいいのか。とっておきの方法があります。少し気を利かせて、相づちを打ちながら話し手の代わりに単純明快な「主語+述語」に言い換えてあげればいいのです。


話し手「この間さ、得意先の○○商事に行ったら、そこの部長が、あっ、そのときはウチの課長に納品に行けって急に言われて俺が行く羽目になったんだけどさ、担当の鈴木さんがたまたま休みでさ、それで部長が出てきて、いきなりクレームをつけられて、直接の担当は俺じゃないのにさ、担当は隣の課のヤツらしんだけど、何のことだか……」

聞き手「そうだったんだ、○○商事の部長がクレームをつけてきたんだ」

話し手「そうなんだよ。俺のせいじゃないのにさ。話がまったく訳が分からなくて、帰ってきて隣の課のヤツに事情を聞いたら、まったくの他人事。当事者意識がなくて、頭に来たよ。部長からはすぐに対応しろって言われるしさ……」


聞き手「そうなんだ。隣の課の人たちは、心当たりがないって言うんだ」


話し手「そうなんだよ。先方の部長からはすぐに対応しろって言われていて」


聞き手「そうか……(考える様子を見せる」、先方の部長はすぐに対応しろと?」


話し手「そうなんよ、どうしよう?」


……という感じです。この話し手は、聞き手にアドバイスを受けたかっただけなのです。


こうやって相手の話の大筋に関する部分だけを、単純明快な「主語+述語」にして相づちに織り交ぜていくと、話が短く終わるようになります。また、話し手も言いたいことを確実に言えるようになるので、スッキリして感情を味わえるようになります。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉


人生設計とは、突き詰めれば何にどれだけ時間を使うかという時間配分以外の何ものでもない。――大前研一

 

編集後記




話し上手は「相づち」が9割 (宝島社新書)

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