第704冊目 レバレッジ・マネジメント 少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略 本田直之/著

目次


第1章 経営者のレバレッジ
第2章 戦略のレバレッジ
第3章 営業のレバレッジ
第4章 ブランドのレバレッジ
第5章 仕組み化のレバレッジ
第6章 組織のレバレッジ


素直さを持っているか?
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さまざまな経営者を見てきて、私が感動した事実がある。それは、優れた経営者は一様に素直であるということだ。


素直さを持たない経営者は、周囲に何かを提案されても、いっさき聞く耳を持たない。「こうしたらよいのではないでしょうか?」というアイディアを、「いや、それはもう全然駄目だ」「そんなことはわかっている」「そんなことをしても効果がない」とばかりに素直にならず、決めつけてしまう。


しかし、優秀な経営者は「聞く耳」を持っている。アドバイザーとなる人は選ぶ必要があるが、良い悪いは別として、自分の会社のために言ってくれる意見があるなら、耳を傾けてみようという基本姿勢がある。


素直さといっても、人に言われたことを「そうですか」とばかりに聞き入れ、言われることがままに実行することではない。意見はきちんと聞くが鵜呑みにせず、自分の思考に照らし合わせて取捨選択し、意志決定するということだ。


優秀な経営者はまた、「この人の意見は参考になる」と判断すれば、たとえ年下の意見だろうと目下の者のアドバイスだろうと、実際に試してみる素直さを持ち合わせている。


たとえば、ある経営者は、「自分のやり方でこのまま経営していても、これ以上の成長は難しいと思う」と言って、私のアドバイスに耳を傾け、最後には経営のほとんどを一任してくれた。ベンチャー企業の経営者にとって、これは普通ではありえないことだ。なぜなら、経営権を渡すとは、自分の経営スキル、ひいては自分自身を全否定するに等しい行為だと思う人がほとんどだからである。


しかし彼は、「自分にできないことを認め、得意な人のアドバイスに全面的に耳を傾け、実行してもらう」という策を取った。これもまた、素直さから生まれた実行力の好例だと思う。


「優れたビジネススキルを持っている」というプライドは誰にでもあるだろうが、よほどの天才ではない限り、プライドと能力は必ずしもイコールではない。


いったん話を聞いてみる素直さ。良いと思えば試してみる素直さ。これを持っている経営者は、たとえ若くても確実に成長していくことができる。また、年齢を重ねていても、優れた経営者はみな、子どものように素直さをすり減らさずに持ち続けているのだ。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉


「世の中っていうのはね、それほど、キミに注目しているわけじゃない。
誰もが、自分のことだけに忙しくて、他人のことなんてどうでもいいんだ。」――神田昌典

 

編集後記


最近、人は自分のことに1番関心を持ち、他人のことは関心がないことがわかりました。


自分がコンプレックスと思っていることでも、他人はまったく気にしていなかったり、逆にコンプレックスが好きだったりすることがあるのです。


極端にいえば、他人が火事にあおうが、試験に失敗しようが、交通事故にあおうが、自分の顔にできたニキビに100倍も関心があるということです。


「人が自分のことをどう思うか」を気にして、自分が本当にしたいことができないことがいかに馬鹿げているかを実感しました。


「失敗しても1ヶ月も経てばみんな忘れる」ことを意識して、どんどん失敗していこうと思います。