第686冊目 見通す力 池上彰/著

見通す力 (生活人新書)

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池上流「情報メモ術」
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「読書術」に続いて、私がいつもしているメモの方法は、いわゆる「メモ術」も紹介しましょう。


これまで書いてきたような情報収集をしていく中で、貴重な情報をたくさんつかむことができるようになります。あるいは、思いつくことも多くなります。


「今朝の新聞記事にも、一昨日読んだ雑誌記事にも、○○○という聞き慣れない言葉が出ていたなあ。明日、大きな書店に行くから、そこで調べてみよう」

「昨日の新聞で読んだこの出来事は、もしかしたら、先週起こったあの事件とつながりがあるかもしれないぞ」


こんな感じです。


ただし、そうした思いつきは、書斎でパソコンに向かっているときにやっているとは限りません。むしろ、満員電車でつり革につかまっているときや、喫茶店で打ち合わせのための待ち合わせをしているときなど、外出中に思いつくことの方が多いほどです。せっかく思いついても、そのままにしておいては忘れてしまいます。



では、どうすればよいのか。


そこで登場するのが「メモ術」です。私が起用しているのは、A4コピー用紙の裏側。ミスコピーした用紙や、もういらなくなったコピー用紙の裏側です。


私は、コピー用紙の白い面を表にして、何十枚かまとめて大きめのクリップでとめ、これもいつもカバンの中に入れています。思いついたことがあれば、すぐにこれを取り出し、シャープペンシルかボールペンでメモします。


メモする内容は、ある場合は単なるものや人の名前だったりしますが、ある場合にはひとつの出来事と別の出来事のつながりだったりもします。


メモをする中で、新しいアイデアが生まれることもあります。


コピー用紙に、出来事や人物などのキーワードを書き、そこにわかったことや疑問に思った点などを書き加えていくことで、今まで見えなかったことが見えてきた、ということがよくあります。そのため、書き込むスペースの大きいA4のコピー用紙が、都合がよいのです。


ただし、外出先ですから、メモをする場所がないこともあります。喫茶店で人を待っているようなといはいいのですが、満員電車で立っているときに何かを思いついたような場合はちょっと困ります。


紙やペンを取り出して、ごそごそとメモすると、まわりにも迷惑がかかりますから、目的地で電車を降りると、邪魔にならないように柱の陰でメモをしたりしています。はたからは、ちょっと怪しい人に見えるかもしれませんね。


書いたメモは、仕事場に戻ってから、第2章で紹介したクリアファイルに、関連する記事などと合わせて入れておきます。


そうすれば、後である分野の情報を見直そうと思ったときに、自分の思いついたことを、新聞記事などと一緒に、手軽に見直すことができるようになります。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


目次


序章 「見通す力」を使って将来を予測する
第1章 「見通す力」はこうして鍛える
第2章 見通すための情報収集(1)新聞、テレビなどを使った「ニュース定点観測」
第3章 見通すための情報収集(2)雑誌や書籍、ウェブサイトなどを使った「深掘り情報収集」
第4章 仮説を設定し、検証してみよう―信頼できる情報をもとに、「これから」を予測する
第5章 私はこうして先を見通そうとしてきた
第6章 「自動車業界」のこれからを見通してみよう



今日の声に出したい言葉


人間の声は筋肉のようなものだ。訓練し、使うことで強くなる。弱々しい声の人もたいていは、訓練するうちに声が鍛えられて、力強く自信に満ちた話ができるようになる。――ブライアン・トレーシー

 

編集後記


池上彰さんが、柱の陰でこっそりメモしている姿を想像するとクスッと笑ってしまいます。


見通す力 (生活人新書)

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