第665冊目 伝える力 「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える! 池上彰/著

伝える力 (PHPビジネス新書)

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落語に学ぶ
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話し方を学ぶには、落語は最高の教材になり得ます。演芸場に足を運ぶのもよいでしょうし、CDやテープを繰り返し聞くのもよいでしょう。


一流の落語家は、とりわけ間のとり方が見事です。一瞬止めて、間合いをとったかと思うと、また立て板に水を流すごとく話を続けます。


ほんの一秒、二秒ではあっても、この〝タメ〟が効いて、聞き手は、


「次はどうなるんだろう?」


「何を話すんだろう?」


と興味津々で、思わず引き込まれてしまいます。


まだ修行の身の落語家は、ストーリーを覚えることに一所懸命で、間までは、神経が行き渡りません。だから、聞いているこちらも、いまひとつ惹きこまれません。


ビジネスシーンでも、話の下手の人は、えてしてこの間合いのとり方が苦手です。


話すとなると、緩急をつけることもなく、ボソボソとずっと話し続ける。会議の場などでは、周りの人の顔も見ないで、抑揚もつけず話すものですから、聞いているこちらも飽きてくるし、場の空気も重くなってしまいます。


企画会議で非常に価値のある企画を提案しても、話し方がまずいために、その企画が通らないといったことも起きてしまいます。内容がよい企画なのに、もったいないことです。


反対に、企画の内容はたいしことがないのに、話が上手なために、企画が通ることも珍しくありません。


話し下手、プレゼンテーション下手のビジネスパーソンは、落語を聞いてみるのも、一つの方法でしょう。


落語を聞くことがすぐにビジネスに功を奏するとは思いませんが、長い目で見れば、ビジネスにもきって役立つはずです。


ただ、あまりのおもしろさに夢中になって、仕事に身が入らなくなっては元も子もありませんが。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


目次


第1章 「伝える力」を培う
第2章 相手を惹きつける
第3章 円滑にコミュニケーションする
第4章 ビジネス文書を書く
第5章 文章力をアップさせる
第6章 わかりやすく伝える
第7章 この言葉・表現は使わない
第8章 上質のインプットをする


今日の声に出したい言葉


アドバイスは、たとえ適切なものだとしても、まず採用されないという現実を知っておくべきです。――酒井穣

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