第658冊目 他人を動かす質問 欲しい「答え」を相手から引き出す技法 内藤誼人/著

他人を動かす質問

他人を動かす質問

気になることは、「あれこれ考えずに」質問する


他人に対して気になることがあったら、すぐに質問してしまう習慣を身につけよう。


どうせ自分の頭の中で考えていても、答えなどわかりはしないのだ。


だから、知りたいことがあれば、その当人に聞いてしまうのが手っとり早い。


たとえば、彼女からのメールの返信が近頃遅くなってきた、ということに対して不安を感じているとしよう。


こういう悶々とした心理状態は、きわめて不快である。だから、


「ねぇ、僕のこと嫌いになっちゃったの?」


とさっさと質問したほうがいいのだ。


彼女の答えがどうであれ、少なくとも何らかの答えは得られるわけで、悶々としているよりは、はるかにスッキリする。


自分の言葉が、後輩にとって役に立ったかどうかを知りたいなら、聞いてみるのが1番だ。「僕のアドバイスは、少しは役に立ったのかな?」と。


そして後輩の返事をきけば、一瞬でスッキリするにちがいない。


こんなことは、ごく当たり前のことだと思うが、世の中には、こういう当たり前のことができない人が、けっこういるものである。


「先生、彼女の本当の気持ちを知りたいんです。教えてください!」
「そんなのは、彼女に直接聞いてくださいよ。『キミの気持ちを教えて』って頼んでみればいいじゃないですか。なんで僕なんかに尋ねるんです?」


「先生、部下の気持ちがよくわかりません。部下の気持ちを教えてください!」
「いや、だからね。部下の気持ちが知りたいなら、部下に直接聞くのが筋ってもんでしょ? どうして僕に質問するの? キミが知りたいのは、僕の気持ちじゃなくて、部下の気持ちでしょ? なぜ部下に直接聞かないの?」


私のところには、しょちゅうこういう相談が持ち込まれる。


そして、私がこんなふうに答えると、だれもがハッとした顔をして、「そう言われればそうだな」と気づくのである。


テンプル大学ロバート・ワイズバーグ博士によると、悩んでいる人は、ごく当たり前のことにすら気づきにくくなってしまうというが、まさにそうなのである。


たしかに、心理学のテクニック、とりわけ読心術のテクニックを使えば、人のホンネを暴くことは可能である。


しかし、そんな面倒なことをしなくても、ただ質問すれば、相手はきちんと反応してくれるのだ。どうして、コソコソ他人の気持ちを盗み見るようなことをしなければならないのか。そんな必要はどこにもないのに。


知りたいことがあれば、尋ねてみればよい。


たしかに、「キミは僕を心から愛している?」などという質問には、照れやら、恥ずかしさがあって、正直な返事がかえってこないこともあるかもしれないが、その他のことにるいてはたいてい教えてくれる。


自分1人で悩むのをやめよう。


聞きたいことがあれば、その当人に直接尋ねてしまうのだ。


あなたにすべてのよきことが雪崩ごとく起きますように♪


目次


第1章 意見は「引き出す」ものではなく「埋め込む」もの
第2章 イヤな相手を上手に丸め込む「質問」の技法
第3章 人に嫌われないための「魔法の質問術」
第4章 相手のホンネを暴き出すためには、「どうすれば」いいのか?
第5章 相手をうまく丸め込んで、言うことを聞かせる方法
第6章 上手な質問で、思いのままに人を操るテクニック


今日の声に出したい言葉


人の2倍考える人間は10倍の収入を得ることができる。3倍考える人間は、100倍稼ぐことができる。そして10倍考える人間は、時価総額1兆円企業の創業者になれる可能性もある。それが、今すでに始まっている新しい世界の法則なのだ。――大前研一


 

編集後記


私も質問したいのに質問できないことがあります。


「こんなことを聞いたらバカだと思われるのではないか?」「こんな質問をしたら失礼じゃないか?」「こんなことを尋ねたら自分が傷つくかもしれない」と思うことがあります。


後になって聞いておけば良かったと思うこともしばしばです。


今日からは「質問しても死ぬわけではない」と思って気軽に質問していこうと思います。


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