第612冊目 汗出せ、知恵出せ、もっと働け! 講演録ベストセレクション 丹羽宇一郎/著

汗出せ、知恵出せ、もっと働け!―講演録ベストセレクション

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目次


第1章 二十一世紀日本の光と影―イノベーション格差社会
第2章 巣立つ若者たちへ贈る
第3章 M&Aコーポレートガバナンスの行方
第4章 企業改革に終わりはない
第5章 エリートなき国は滅ぶ
第6章 「人を動かす経営」とは何か
第7章 日本は「人と技術」なくして成り立たない
第8章 WFPの活動と国際貢献
第9章 稼いだ金は、誰のものか?
第10章 曲がり角に立つ日本とリーダーの使命
第11章 地域飛躍の戦略のために


ろうそくの火で1日10時間勉強する子ども
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まずガリッサという、首都ナイロビから北東に4キロほどのところにある地区に行きました。そこにはWFPの食糧配給サイトがあります。干ばつの被害にあっている放牧民のために設置されたサイトで、私も配給のお手伝いをさせていただきました。


彼らの中には配給日になると、何時間も、あるいは何日もかけて、サイトに来る人もいます。


配給するのは、お米、豆類、穀物、それからオイルなどです。ここでは1人ひとり、受取りの確認をし、同じ人が何回も取りにこられない仕組みになっていました。


そこからさらに70〜80キロ北東に行ったところにダダーブというところがあります。そこではソマリアから来た14万人の難民が暮らしており、多くの難民キャンプの方々と話をしました。ある女性は、ソマリアから逃れてくる途中に子どもを1人亡くし、ようやくキャンプにたどり着きました。10日以上も1人で歩いてきたそうです。またある若者は、ソマリアの大学の法学部に在籍していたのですが、あまりに危険だということで、この難民キャンプに来たとのことでした。


キャンプの中にある病院にも行きましたが、ほとんどがマラリア患者です。あるお母さんは、マラリアで衰弱している子どもを抱えて、うつろな目をしていました。もうこの子の先はないのだということを達観しているのだろうか。そう考えると、じつにやりきれない思いがいたしました。


また、ナイロビの中心から車で20分くらいの場所には、キベラというところがあります。ここは世界最大のスラム街です。100万人以上の人口がいると思いますが、エイズの温床になっているような場所です。


どぶ水が流れている横に掘って小屋があります。ゴミもあちこちに散乱しています。蚊もいます。私はマラリア蚊に刺されないよう、肌をできるだけ出さないようにしていました。


ここでは、ある1軒の家を訪問しました。両親はエイズで亡くなって、子どもが4人で暮らしていました。長男は大学生で、大変しっかりした子でした。


「君これからそうするんだ」


と私が聞きますと、彼はこう答えました。


「お父さん、お母さんに代わって、きょうだいの面倒を見る」


彼には妹が2人、弟が1人います。しかしきょうだいのうち、2人はエイズ患者です。彼は大学を卒業したら、ケニアのために働きたいということでした。志が非常に高く、1日10時間、勉強をしていると言います。電気はもちろん通っていませんから、ろうそくの火で勉強しているわけです。


翻って日本はどうか。これだけ環境に恵まれていて、1日10時間勉強する子どもはいるでしょうか。おそらくいないでしょう。私も自ら反省し、また大いに刺激をうけました。


あなたにすべてのよきことが雪崩ごとく起きますように♪


バイオライト ラクソS S2796W 943-57-15-06

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今日の声に出したいコトバ


こんなバカな、理不尽な上司がいるのも自分のせい、業績があがらないのも自分のせい。そう思えるような人は、どこに行っても成功するでしょう。――小宮一慶


今日の感想


自分がいかに怠けているか、言い訳ばかり言っているかを自覚しました。心から勉強したい、家族を自分が助けるんだという、強い情熱がろうそく火で1日10時間勉強を可能にするのですね。


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