第556冊目 脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」 茂木健一郎/著
- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/12/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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目次
第1講 脳は「ドーパミン」と「強化学習」が好き
第2講 「タイムプレッシャー」が脳の持続力を鍛える
第3講 「瞬間集中法」で勉強を習慣化させる
第4講 茂木健一郎流「記憶術」
第5講 茂木健一郎の「読書のススメ」
第6講 脳のコンディションを把握しよう
第7講 自分を変える「一回性」に巡り会うには
第8講 偶有性がさらなる脳の発達を促す
「モダリティ」を駆使して効率的に記憶する
僕は、昔から記憶力には自信がありました。高校時代、定期試験の前になると僕は教科書を全文丸暗記するようにしていました。全文を覚えていく過程で使っていたのが、暗記用単語カードです。
これは、少し大きめの単語カードを使って自作したものです。表側に、教科書のポイントとなる文章を書き写します。特に暗記してほうがよい単語や用語を空欄にしておき、裏側にその答えを書いておきます。僕はすべての教科について、左図のようなカードをつくりました。
このカードはクラメイトのあいだで評判になり、「茂木のカードはすごい」「そのカードを使わせてほしい」とよく頼られたものです。
この勉強法のメリットは2つあります。ひとつは、第3講で説明した「細切れ時間勉強法」に役立つこと。もうひとつは、カードをつくる時に自分の手で書きながら覚えるため、記憶効率が高まるということです。
では、自分の手で書くことが、なぜ記憶の強化につながるのでしょうか。その前にまず、脳が情報に記憶するメカニズムについて考えてみましょう。
記憶は、脳の大脳脂質のある側頭葉の側頭連合野というところに蓄えられます。そして、側頭葉連合野は、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚といった五感や、自分が行動する動機や心的態度などのさまざまな機能――いわゆる「モダリティ」を統合するところでもあります。
この連合野には、ある特徴があります。さまざまなモダリティから働きかけたほうが、記憶が定着しやすいのです。英語で言えば、英語を黙読するだけではなく、英語を耳で聞く、目で見る、声に出して読む、そして手で書く、さまざまなモダリティを統合的に使って覚えるとこによって、より記憶を定着させることができます。
とにかく大量に読み、大量に書き、大量に聞いて、大量の問題を解く。これが、脳に記憶を定着させる唯一の方法なのです。
だからといって、やみくもに量をこなすだけでは効果はあがりません。
高校時代、クラスメイトの中には「時間をかけて世界史の内容をすべてノートに書き写したのに、ぜんぜん覚えられない」と嘆く人もいました。なぜ、彼はうまくいかなかったのでしょうか。
それは脳の「記憶回路」の使い方が間違っているからです。
ものごと記憶する時、人間の脳は「記憶回路」というある特定の回路を使います。この記憶回路を使って記憶しようとしていなければ、紙に何度書こうが意味がないのです。
さまざまなモダリティかた働きかけると、扁桃核と同時に海馬をも活性化させ、記憶が定着しやすくなります。そして、海馬に記憶されているもののうち、何度も反復して脳にアクセスされたのもは、「重要である」と判断され、側頭葉に送られて、長期記憶として定着するのです。
これが記憶の仕組みです。では、記憶回路を使って記憶するとはどういうことか。
英文を覚える時を例にとりましょう。まず英文を見ます。次に、それを書き写すわけですが、英文を見ながら写しては意味がありません。1度英文を見たら、そこから目を離して、写すのです。これを何度も繰り返します。
ここでのポイントになるのは、原文から目を離すこと――つまり一時的に頭の中に記憶し、それを書き写す作業にするべきなのです。原文を見ながら書き写すプロセスの中には、「記憶する」という作業が抜けています。だから記憶が定着しないのです。
あなたにすべてのよきことが雪崩ごとく起きますように♪
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今日のビジネスヒント
私は、断固として「詰め込みと丸暗記は勉強の王道である」と信じています。――荘司雅彦
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