第497冊目 座右のゲーテ 壁に突き当たったとき開く本 斎藤孝/著

座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

実際に応用したものしか残らない
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いろいろ研究したみたところで、結局実際に応用したところしか、頭にのこらないからな


シンプルだが、まったくその通りだと私も思う。


この言葉を受けて、「古代史や近代史も聴講しましたが、今ではもう一言覚えておりません。しかし、いま劇化でもするつもりである時代の歴史を研究したら、その研究はきっといつまでも自分の身についたものになったでしょうね」と言うエッカーマンの発言もいい。


この引用文を読むと、「ある事柄を勉強し、その上で応用してみたから身についた」というふうに受けとるかもしれない。確かに、机上に学んだことは、実践したときに初めて「ああ、こういうことか」という実感を伴ってわかることはある。だが現実には、それで初めて身についたというのは正確ではない。


ゲーテによれば、何かを勉強する場合は、やみくもち試してみたところで身につかない。「よし、これを仕事にしよう」と実際的に考えて覚えよとしたときにやっとものになる。「これをやるんだ」という気構えが前提になければ無駄だというわけだ。


少なくともエッカーマンはそのつもりで聞いている。最初から劇にするつもりで取り組んでいたら、古代史も近代史ももっと自分の中にのこっているはずなのに、と残念がっている。


ゲーテには、常に学びを作品化するという癖がある。逆に言えば、作品にする、仕事にするという意志抜きの勉強などしない。それが身につけるコツだという。


明確な意識で取り組むと、勉強するときの積極性や目のつけどころが違ってくる。何かを仕上げようと思って聞いたり見たりしている人は、「これを絶対ものにするんだ」というそしゃく機能を持って食べているようなものだ。自分がやろうとしている物事に引きつけて理解していけば、どんなものも栄養になっていく。


勉強会やセミナーに積極的に参加しても、自分で何か差し迫った課題を持っていなければ、ほとんどプラスにはならない。それは言ってみれば、、勉強のための勉強だからだ。いろいろ勉強してみても、「いつかまとめてみよう」とおうように構えていては、おそらく生涯、その勉強は終わらないし、まとまらない。取り組む課題を決めたら、それに沿って無理矢理にでも応用してみることである。


あなたにすべてのよきことが雪崩のごとく起きますように♪


ゲーテとの対話 上 (岩波文庫 赤 409-1)

ゲーテとの対話 上 (岩波文庫 赤 409-1)

ゲーテとの対話 中 (岩波文庫 赤 409-2)

ゲーテとの対話 中 (岩波文庫 赤 409-2)

ゲーテとの対話 下 (岩波文庫 赤 409-3)

ゲーテとの対話 下 (岩波文庫 赤 409-3)


今日の名言


「どんな出来事も偶然も運命も、意志の強い人の強固な決意を、妨げることも、阻止することも、抑えつけることもできない」――エラ・ウィーラー・ウィルコック


今日の感想


本日の一冊は、明治大学文学部教授の斉藤孝さんによるゲーテの生き方を解説した一冊。


「日付を書いておく」「最高を知る」「他人の評価を気にしない」など実際に役立つノウハウが満載です。


一流を目指す人には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。


目次


1 集中する(小さな対象だけを扱う
自分を限定する ほか)
2 吸収する(最高を知る
独創性などない ほか)
3 出合う(愛するものからだけ学ぶ
豊かなものとの距離 ほか)
4 持続させる(先立つものは金
儀式の効用 ほか)
5 燃焼する(現在というものに一切を賭ける
計り知れないものが面白い ほか)


座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

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