第328冊目 弁護のゴールデンルール キース・エヴァンス 高野 隆

弁護のゴールデンルール

弁護のゴールデンルール


自分の声量を知れ

他人に自分の話を聞いてもうらにはどの程度の声量を出せばよいか確認しておきなさい。法廷は形も大きさもさまざまである。天井の高さも異なっている。ある法廷は壁に吸音材を使っているし、ある法廷はまるで鏡の中にでもいるかのように音が響く。もしも、まだやったことがないならば、できるだけ多くの場所で自分の声を使って試してみたらよい。


話すスピードと音質を変化させよ

そうしないと、あなたの話は退屈に聞こえてしまうのであり、あなたの話が退屈に聞こえてしまえば、他のすべてのルールを活用して達成されたことがほとんど台なしになってしまう。テープレコーダーで自分の声を聞いてみなさい。もし可能ならば、誰かと話している時にビデオカメラをセットしてみなさい。そして、それを後で聞いてみなさい、見てみなさい。スピードは速すぎないか? 遅すぎることはないか? 低音と高音の差はどのくらいか? 聞いていて楽しいか? 聞き苦しいことはないか?


タイミングと中断の力を知れ

演劇関係者に偉大な俳優の特徴は何かと尋ねると、ほとんどの人がタイミングと答える。優秀な法廷弁護士はそれがいかに重要であるかを知っている。しかし、経験のない者は、しばしば、中断しないこと、話しつづけること、沈黙を避けることにあまりに熱中しすぎてしまい、タイミングの問題をすべて忘れてしまう。こういう失敗をしてはならない。中断が作り出すドラマチックな力を忘れてはならない。あなたの動作を継続させることは重要である。しかし、それはおしゃべりを続けることを意味するのではない。


注意深く聞く訓練をせよ

法廷においてわれわれは自分が何を言うか、そしてそれをどのように言うかということばかりを考えている。そのために、ものごとをできるかぎり注意深く聞かなければならないということを、しばしば忘れてしまうのである。たしかに、これは変な話だが、実際にはその危険はあるのである。とくに最初の数回の公判ではそうである。われわれは自分の尋問をひねり出すことの難しさに圧倒され、ひとつ質問すると安堵感に浸ってしまい、その質問への答え方に十分注意を向けないことがよくある。注意深く人の話を聞くことは簡単なことではない。訓練が必要である。だから訓練しなさい。

法廷弁護の諸次元
必修ルール
演劇としての法廷弁護
法廷弁護の心理学
証人尋問
主尋問
反対尋問
再主尋問
最終弁論

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