第315冊目 この世でいちばん大事な「カネ」の話 /西原理恵子/著・装画・挿画

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

若さと容姿を切り札にして水商売なんかをやって、ブランドもので着飾っていき女の子たちだって、30、40にもなれば、もうどこも雇ってくれない。

貧乏と病気だ。それも、どうあがいても治らない、不治の病だ。

貧乏っていうのは、そうやって土砂崩れみたいな、何もかもをのみこんで押し流してしまう。そういうこわさを、私は、あのころ見て、知った。

学校の同級生はみんなお金持ちで、財布にふつうに万札が入っている子ばっかりだったけど、わたしのお財布に入っているのは、せいぜい、2、3千円。毎日お昼代に500円もらって、学食で350円の定食を食べて残りる150円をコツコツ貯めて貯金していた。

本物のお金持ちの同級生たちはたぶんそんな貯金なんてしてなかったと思う。わたしは、それでも地元の友だちからしたら、十分に「お金持ち」っていう感じだった。

「最下位」の人間に、勝ち目なんてないって思う?
でもね、「最下位」の人間には、
「最下位」の戦い方ってもんがあるんだよ。

裁判っていうのは、正しいほうが勝つ。
それまでは単純にそう思っていた。でも実際にフタをあけてみたら、そんな一筋縄でいく話じゃあ、ぜんぜんなった。

だから、わたしは思うのよ。
「才能」って、人から教えられるもんだって。
いい仕事をすれば、それがまた次の仕事につながって、その繰り返し。ときには自分でも意識的に方向転換をしながら、とにかく足を止めないってことが大事。

第1章 どん底で息をし、どん底で眠っていた。「カネ」がないって、つまりはそういうことだった。(「カネ」はいつも、魚の匂いがした
新しい町、新しい「お父さん」 ほか)
第2章 自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。(高校を退学になった女の子
「お前は世界でいちばんいい子だ」 ほか)
第3章 ギャンブル、為替、そして借金。「カネ」を失うことで見えてくるもの。(マンション一室、買えました。
ギャンブルの師匠、銀玉親方登場 ほか)
第4章 自分探しの迷路は、「カネ」という視点を持てば、ぶっちぎれる。(「カネのハナシ」って下品なの?
育った町の、それぞれの「ぼくんち」 ほか)
第5章 外に出て行くこと。「カネ」の向こう側へ行こうとすること。(人ひとり殺すと、いくらですか?
スモーキーマウンテンの子どもたち ほか)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

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