第286冊目 第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい マルコム・グラッドウェル/著 沢田博/訳

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

大恐慌のころハーバード大学の博士課程で研究の真っ最中だっただ、競馬場の予想屋のバイトをしていてよくあたり、おかげでマンハッタンのアッパー・イースト・サイドで贅沢な暮らしができた。競馬場ではスタンドに何時間も座り続けて、双眼鏡で馬を観察していたものだから、「教授」として知られていた。「先生はある馬の両隣をどの馬が走るかを見て、馬どうしの関係に基づいてどの馬が勝つか予測するシステムを組み立てていた」とエクマンは回想する。

たとえば、ある牝馬が最初の年か二年目にある牝馬に負けたとする。その牝馬が当の牝馬の隣のゲートに入ると、馬は力を出し切れない(あるいは、確かなことはわからないがそれに近いことが起こる。)

顔(馬の顔も含めて)には心の中の感情や動機を知る貴重な手掛かりがあるとトンキンスは信じていた。

これまで誰も気づかなかったが、顔は情報の詰まった宝の山だ。先生にはそれが見えるらしい。先生に見えるなら、ほかの人にだって見えるはずだと思った。

FACSをすべて習得するには何週間もかかる。これを研究に使うことを認められているのは世界で500人だけだ。だが、いったん習得すれば、私たちがお互いの目を見て相手に送るメッセージについて、驚くほど深く理解することができる。

人の顔は感情についての情報の宝庫だと、エクマンは思う。そしてもっと大胆な意見も述べている。それはマインドリーディングの仕組みを理解するひとつの鍵でもあるのだが、エクマンによれば、顔に現れる情報は心の中で起きていることを示すただの合図ではなく、ある意味で、心の中で起きていることそのものでもある。

感情は顔の表情から始まることもあるのだ。

顔にはわかりやすい情報がいくつも現れるので、私たちは日ごろ、人の心を読むことができる。

第1章 「輪切り」の力-ちょっと情報で本質をつかむ
第2章 無意識の扉の奥-理由はわからない、でも「感じる」
第3章 見た目の罠-第一印象は経験と環境から生まれる
第4章 瞬時の判断力-論理的思考が洞察力を損なう
第5章 プロの勘と大衆の反応-無意識の選択は説明できない
第6章 心を読む力-無意識を訓練する

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい