第271冊目 マキアヴェッリ語録  塩野 七生 (著)

マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)

マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)

なにかを為したいと思う者は、まず何よりも先に、準備に専念することが必要だ。機会の訪れを持っての準備開始では、もう遅い。幸福に微笑まれるより前に、準備は整えておかなければならない。このことさえ怠りなくやっておけば、好機が訪れるやただちに、それをひっ捕らえてしまうこともできる。


好機というものは、すぐさま捕らえないと、逃げ去ってしまうものである。

謙虚の美徳をもってすれば相手の尊大さに勝てると信ずる者は、誤りを犯すはめに陥る。

別の人格を装うことは、場合によっては賢明な方法になることがある。

人々は、歴史上の人物が祖国のためにつくした行為に対して、褒めたたえ感心するが、まねしようとしないのが一般的である。わたしには、この種の傾向は、それらをまねした場合の利益を考えると、残念でならない。

民衆への対処の仕方は、寛大な態度でのぞむか、それとも強圧的に対するかのどちからでなくてはならない。なぜなら人間というものは、軽度の侮辱には復讐の気持ちも起きるが、大きな危害を加えられると、復讐の気さえ失ってしまうものだからである。したがって、人に危害を与えるときは、復讐を怖れなくてもすむようなやり方で行わなければならない。

人間というものは、往々にして小さな小鳥と同じように行動するものである。つまり、目の前の獲物にだけ注意を奪われていて、鷹や鷲が頭上から襲いかかろうとしているのに気がつかない、小鳥のように。

第1部 君主篇(わたしがここに書く目的が、このようなことに関心をもち理解したいと思う人にとって、実際に役立つものを書くことにある以上
歴史に残るほどの国家ならば必らず、どれほど立派な為政者に恵まれようとも、二つのことに基盤をおいたうえで種々の政策を実施したのであった。それは
きみは、言う。「そうはならないだろう。われわれは彼らに対し、一致団結するであろうから」しかし ほか)
第2部 国家篇(祖国の存亡がかかっているような場合は、いかなる手段もその目的にとって有効ならば正当化される
これまでの歴史を見ても、その中で細心の注意を払って共和制を築きあげてきた人々はとくに、改革を迫られた制度のうちでは、自由を守るための制度を整えるのが、最も重要なことだと考えてきた。なぜなら
なぜ、人々の心に自由に生きることへの強い愛着が生れてくるのか、という問いへの答えは簡単である ほか)
第3部 人間篇(名声に輝く指導者たちの行為を詳細に検討すれば、彼らがみな、運命からは、機会しか受けなかったことに気づくであろう。そして
運命について力量について時代性について
古代えが中絶されるのを望まな・リヴィウスはこう言っている。「運命は、自分の考えが中絶されるのを忘ましい場合、その人を盲にしてしまう」と ほか)

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