第216冊目 超凡思考 著者/訳者名 岩瀬大輔/著 伊藤真/著

超凡思考

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司法試験の勉強をしていた2年間のほとんどを、僕は伊藤先生の講義を聞きながら過ごしました。毎日の授業ももちろんですが、六法それぞれの講義テープを20回以上聞き続けたので、僕の話しかたは伊藤先生に似ていると言われるほどです。

学生から文章力をつける方法を聞かれることがありますが、肝は、出題者が求めている答えを感じ取れるかです。解答者が書きたいことを書くのではなく、出題者が書かせたい内容を書く、それが答案を書く際の基本です。

同様に、人と話すときには、まず、目の前にいる人たちが求めている話を敏感に感じ取ることです。感じる取る力、察知するアンテナを研ぎ澄まします、つまりは場の雰囲気や空気を読むことが、コミュニケーションを図るうえでの根本的に大切なことなのです。

私の場合、たとかば弁護士を相手に話をするときには、ロゴスにウエイトを置いて論理的に進めます
一方で普通のお母さんたちに平和の大切さについて話すときはパトスを前面に出します。百戦研磨の弁護士の前でいくら熱く語っても浮くだけです。

普通のお母さんに強く理性を押し出したら、「冷たい感じの先生ね」「わかりにくいわねぇ」という評価で終わってしまいます。相手がどのような人か、何を求めているのか、どこに投げかけば響くのかをしっかりと見極める必要があります。

「今日いちばんお伝えしたいのは○○です。そのために3つのことをお話しします」といった具合にあらかじめ話の全貌を明かしたり、あるいは「みなさんに伝えたいことは3つありますが、なかでも特に2番目の話が大事です。あとは寝ていてもいいですか、2番目の話になったら起きてくださいね」と、最初に目次を発表するのです。

「3」は弁証法における三枝弁証法もそうであるように、安定した数字のひとつです。3つの例や3つのテーマにわけて説明すると、受け手は予測しやすくなります。

欲張らないほうがいいでしょう。欲張るよりも、情報に優先順位を付けておくことです。私に常に10のうち2伝われば十分と考えるようにしています。

第1章 岩瀬式目標設定(他人と比較しない。小さな勝利をペースメーカーに、達成感を覚える。
欠点は恥ずかしくない。弱みは、フォローすれば強みに変わる。自分の弱点を直視しよう。 ほか)
第2章 伊藤式時間術(任せられるところは任せる。自分にしかできないことにすべての力を注ぐ。
全体像を掴んで自分のポジションを知る。もっとも大切なことに時間を割り当てる。 ほか)
第3章 岩瀬式情報整理(情報は集めない。目的に沿っていかに情報を組み立てられるか。
手の内は明かす。人に語れる情報に価値はない。勝負は別でする。 ほか)
第4章 伊藤式伝える力(何を伝えたいのか。強い意識があってこそ、技術が生きる。
ロゴスとパトスのバランス。役割を演じ分けると思いが伝わる。 ほか)
まとめ 岩瀬×伊藤(対談)

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