第189冊目 「超」文章法 伝えたいことをどう書くか 著者/訳者名 野口悠紀雄/著

「超」文章法 (中公新書)

「超」文章法 (中公新書)

文章を書く場合に最も大切なのは、「書き始めること」だ。

「まず何よりも大切なのは、思い切ってやり始めることである。仕事の机にすわって、なかなか仕事に向けるという決心が、結局一番難しいことなのだ」ヒルティ

「ある人たちは、始めるのにいつも何かが足りなくて、ただ準備ばかりしていて、なかなか仕事にかからない」ヒルティ

ノウハウがないことを知るのが、ノウハウなのである。

「ためになるか? 面白いか?」と何度も自問してみよう。

数学者のピーター・フランクル氏は、いまでも大道芸を続けているそうだ。なぜか? 無名時代、大道芸で観客の笑いを誘うため、大変な苦労をした。面白くなければ、観客は帰ってしまう。いまでは、講演会に行くと主催者が迎えにくる。舞台に上がれば大きな拍手が起こる。「では、ボクは賢くなったのか?」と彼は自問する。「とんでもない。ただ老けただけのことだ」「人は有名になると、悪い方向に変わる危険がある」。だから、自分を客観的に眺め、原点に戻るために、大道芸をやめないのだという。

文章の終わりは重要である。最後から読む人もいるからだ。また、読書の印象は、最後の箇所に依存するところが大きい。

数字を示すと、説得力が増す。大きな数字や小さな数字は、日常的感覚で把握できる数字に直して示す。

比喩を用いると、複雑な論理や抽象的な概念を、簡単にかつ印象的に説明することができる。

余分なものはすべて削る。

文章がわかりにくくなるのは、各部分が全体とどのように関連しているかが摑みにくいからだ。

誤字脱字を断絶する。とくに、名前の誤字に注意。

表記と用語を統一する。

タイトルは、内容を適切に表すものにする。

語尾の単調がいくらでもあるように避ける。語尾で逃げない。

曖昧接続の「が」の多用をさける。

引用とは、簡単に言えば、権威に頼ることである。これも説得力を高めるための技術だ。「私はこう考える」と言うより、「ゲーテがこう言った」のほうがありがたみがある。

「といわれている」は、「私はこう考える」とする(「私はこう思う」では、少し弱くなる)。

メッセージこそ重要だ
骨組みを作る(内容面のプロット
形式面の構成)
筋力増強―説得力を強める
化粧する(わかりにくい文章と闘う
一〇〇回でも推敲する)
始めればできる

「超」文章法 (中公新書)

「超」文章法 (中公新書)