第13冊目 最強の質問力―未知の能力を引き出し合う究極の思考法 工藤 浩司 (著)

英国の大学院に在学していたときのこと。私が博士論文を書き上げいて担当教授に提出したところ、こういわれた。
「ん〜、この論文は素晴らしいが、この論文では私は監督できないね。私はこの分野はわからないよ」

これをある分野の最高峰の人が言うのである。自分の分野をわきまえていうるというか、その知的正直さに、私は度肝を抜かれたものだった。

反対尋問をするために必要な13の要素
1. 最大限の工夫
2. 論理的思考
3. 瞬時の修正
4. 認識の明確性
5. 忍耐力
6. 自己統制
7. 証言者の心を読み取る力
8. 表情や声、行動、雰囲気によって、性格や弱さを判断する能力
9. もっともらしく、ごまかされた証言者の動機を察知する能力
10. 力強さをもって演じる技術
11. 主題への深い知識
12. 極端なまでの注意深さ
13. 証言者の弱点を探り当てる洞察

ディベートは準備が8割、試合が2割」

質問の仕方を人に教えると、「どのよな質問か、よい質問なのですか?」と聞かれることがよくある。それに対して私は、「相手の主張や哲学を崩すような質問や、論理の流れを聞いたりする質問がよい質問ですね」と答えている。

もし、あなたが何かに困ったとき、自分自身に「なぜ?」と問いかけてみることをお勧めする。思わぬところで解決案が転がっているかもしれない。

質問する前に質問していいかどうかう、確かめよう。「今、この問題について質問してもいいですか?」と素直に聞いてみるのが一番だ。

質問することを受け入れる土壌を作ろう。「失礼だとは思いますが……」「間違っているかもいれませんが……」「このように考えたら間違っているでしょうか……」

横柄な態度をとっていないか、常にチェックしよう

主張そのものの確認
主張がはっきりしない場合、それを明確にするために行われる。しかし、主張を否定するための質問ではない。

具体的に考えよう。主張が「日本は陪審員を導入すべきだ」という主張があったとする。主張そのものに質問してみよう。
「日本とは、どういう意味で使っていますか?」
陪審員とは、どういう意味で使っていますか?」
「導入すべきは、どのような形での導入です?」

年配の人が、「今の若者は全然なっていない」という発言をした。この主張にも質問してみよう。
「『今の若者』とは、どのような年齢層の人ですか?」
「『ないていない』とは、どういう意味ですか?」

人は質問されなければ、理由付けを提示しないことも少なくない。そんな場合はこちらから主張そのものに対して質問し、それにより相手の議論を引き出すように心がけたい。

あまり知られていない事実への質問の仕方
1.提出された事実の新しさを問う
「その統計が発表されたのは、いつですか?」
「それより新しい統計はなかったのですか?」

もし10年も前の統計を相手が示し、最近の統計う相手側がもっていないとすれば、「この10年に統計が変更された可能性のありますね?」などと質問してもよい。

信憑性をとうための質問
「その資料は、どちらで入手されたものですか?」
「先ほど引用された証拠は、どこがいつごろ発行したものですか?」
「先ほどの資料の出典は分かりますか?」

ダイナミックな質問力を身につける
「〜何歳ですか?」
「〜の値段はいくらですか?」
「〜はどれぐらい大きいですか?」
「〜はどれぐらいの重さですか?」
「〜はどれぐらいの数でしたか?」
「〜は何色ですか?」
「〜はどれぐらい高いですか?」

論理を学んでいる人は、特に言葉づかいに注意する必要がある。質問したとき、自分の言葉使いがおかしくないか、あとで他人に検証してもらうとよい。
「質問の仕方はまずくなかったか?」
「言葉使いは適正だったか?」

二者択一の質問で、相手を追い込みすぎることはやめよう

わかなければわからないと、はっきり主張せよ
質問されたら、すぐに答えなければならないというルールなどは、この世には存在しない

議論をするとき、「分からない」「知らない」ことを恐れてはいけない。本当に恐れるべきは「分からないままにいること」「知らないままにいること」なのである。

煙に巻かれそうになったら、曖昧な単語の定義を聞くのが一番だ。