第9冊目 レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略』 (単行本) 本田 直之 (著)

「忙しい人たちはやめても問題のない仕事をいかに多くやっているかは驚くことである」ドラッカー

「とにかく忙しいんです」とトップが堂々と言うのは、「私は経営者として無能です」と公言しているのと同じことである。

素直さをもたない経営者は、周囲に何か提案されても、いっさい聞く耳をもたない。しかし、優秀な経営者は「聞く耳」をもっている。

「教えてください!」とばかり頼むのは、情報が無料だと思っている旧型思考の人である。今の時代では、情報とは資源であり、タダではない。教えてもらうに値する、しっかりした人間関係になっていなければ価値ある情報は得られないし、いくら親しくても、必要に応じて、しかるべきアドバイザーフィーを払うべきだ。

100パーセントのオリジナルなど、この世に存在しない。ことにビジネスにおいて住々にして、世界のどこかで同じようなことが行われている。経営者の多くの課題には必ず前例がある。しかし、それを探す努力をしない経営者があまりにも多いのは驚きである。

今の時代は、ITの知識なしに仕組みを作ることはできない。複雑なものである必要はないが、エクセルが使えるというのは最低条件だろう。

私がいつも面接でしているのは、「他には?」という問いを繰り返すことだ。たとえば、こちらが「あなたの欠点は?」と質問したときに、面接者は数個の答えを用意しているだろう。そういった答えは本音でない場合があるので、「他には?」と何回も繰り返して、用意している以上の欠点をいわせてみる。そうするとだんだん本音が見えてくる。