第3292冊目 一瞬で自分を変える法  アンソニー・ロビンズ (著), 本田 健 (翻訳)


一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫)

一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫)


ラポールを築くには、まず共通点を見つけることから始まる。NLPの用語では、これを「ミラーリング」、または「マッチング」と呼ぶ。


他人との間に共通点をつくる方法は、いろいろある。たとえば、服の好み、趣味などを意図的に合わせたり、共通の友人を通じて信頼感を深めたり、相手の信念を模倣したりするのもいい。共通の経験があれば、友情が深まり、恋愛関係にも発展する。


これらすべてに共通しているのは、言葉によって伝達されることだ。ところが、研究の結果、対面コミュニケーションでは、相手があなたの言葉から受け取るメッセージは、全体のわずか七%にすぎないという。


そして、三八%は声の調子によって伝えられる。私が子どもの頃、よく母は「アンソニー」と、声を荒げたものだ。そこには私の名前以外にいろいろな意味が込められていた。


そして、コミュニケーションの五五%、つまり半分以上は外見やボディランゲージによって伝達される。顔の表情、身振り、動きの種類によって伝えられる内容のほうが、言葉で伝達される内容よりも、多くの情報を含んでいるのだ。


つまり、ラポールを築くための、もっとも有効な手段とは、外見を真似することなのである。


この手法を確立したのが、催眠療法の大家、エリック・ミルトン博士である。彼は、相手と呼吸、姿勢、声音、身振りを同調させることで、短時間で相手との間に完璧なラポールを築くことができた。初めて会った人でも、すぐにミルトンのことを信頼するようになる。


言葉は意識に働きかけ、外見や態度などは無意識の部分に働きかける。脳が、「おや、この人は自分に似ているな。それなら大丈夫だ」というのも言葉や外見、態度である。


一度そうなると、大きな魅了を感じ、強い絆が生まれる。無意識につくられるものであるがゆえに、つながりはさらに強くなる。


まず、最初に相手に合わせるべきは、声である。声の調子、言葉の区切り方、声の高さ、話す速度、間の取り方、声の大きさなどを正確に合わせる。