第3232冊目 家族のためのユマニチュード: “その人らしさ”を取り戻す、優しい認知症ケア  イヴ・ジネスト (著), ロゼット・マレスコッティ (著), 本田 美和子 (著)


家族のためのユマニチュード: “その人らしさ

家族のためのユマニチュード: “その人らしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア

  • 外からの情報を受け取りにくくなっている


認知症の人を介護するときに大切なのは、不安な気持ちになるのを防ぐことだと述べましたが、それと同時にびっくりさせないことも重要です。


第2章の「記憶のしくみと特徴」で紹介したように、認知の機能が低下すると、外からの情報を受け取りにくくなります。


たとえば、認識できる視野の範囲が狭くなるので、正面にいない人や物には気づきにくくなります。見えていないところからの声も聞き取ることが難しくなります。つまり、横から後ろから声をかけても気がつきません。介護をする人は事前に声をかけているから大丈夫だと思っていても、ご本人から見えないところから話しかけていらのであれば、その声はご本人に届いていません。ですから、いきなり何かをされた、と感じてびっくりしてしまいます。


びっくりすることも、認知症の行動・心理症状の引き金になります。「私はここにいますよ」と自分の存在を相手が理解できるように伝え、「これから○○をしますよ」とこれから行うことを事前にひとつずつ伝えながら介護をすることで、ご本人に安心して介護を受け取ってもらるようになります。