第3186冊目その話し方では軽すぎます! 矢野 香 (著)


その話し方では軽すぎます!

その話し方では軽すぎます!


まずは形から真似ようと、肩まであった髪を森田アナと同じようなショートカットに切りました。本番で着る衣装も、それまでのパステルカラーの可愛らしいスーツはやめて、森田アナと似たような色と形、モノトーンカラーのテーラードスーツを購入しました。


それまでやっていた滑舌や早口言葉のアナウンス練習はやめました。代わりに、「こんばんは、森田美由紀です」と何回もモノマネで言い続け、同じ調子で「こんばんは、矢野香です」と言う練習を行いました。


さらに、森田アナが番組で読んだニュース原稿を取り寄せ、実際放送したニュースに合わせて自分も一緒に読んでみました。声の高さ、話すスピード、どこで息継ぎをするか、どの言葉を強調するか。本番の森田アナの声と自分の声がぴったり重なるようになるまで、この練習を繰り返しました。


アナウンスのテクニックを一つひとつ練習し習得するよりも、モノマネ練習の方が私には合っていたようです。それから十年も後のことになりますが、その成果を確認することができました。とある若いニュースディレクターから、


「矢野さんって、読み方が森田さんみたいですよね」


と言われたのです。思わず一人でニヤリとしてしまいました。


もしも肩書と実力に差があるとお悩みであれば、同じ肩書で、それにふさわしい人物のモノマネをしてみることをお勧めいたします。