第3153冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著),‎ マーヴィン カーリンズ (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • シグナルが混じり合っている場合の原則


私たちは時に本心を語らないことがあるが、私たちの顔はどこかで本心を語っている。たとえば腕時計や近くの出口を何度も見ている人は、予定より遅れているか、約束があるか、どこかほかに行くところがある。このようなしぐさは、やろうとしていること(意図)のシグナルだ。


また、言っていることと考えていることが違う場合もある。そこで、顔の表情を見て気持ちや言葉を解釈する場合には、原則がある。顔が混じり合ったシグナルを出している場合(嬉しそうなシグナルと不安そうなシグナルの両方を出している、または喜びの行動をしながら不快な表情をしているなど)、または言葉と顔のノンバーバル・メッセージが一致していない場合には、いつも不快な感情のほうが正直なものとみなす。不快な感情はほとんどいつも、人が感じていることの中では、より正確で本物の気持ちを反映している。たとえば誰かが「あなたとお会いできて本当に嬉しい」と言いながら、顎に力が入っていれば、その言葉は偽物だ。顔の緊張は、その人が感じている本当の気持ちを表している。なぜ、不快な感情のほうが本物なのだろうか。それは、不愉快な状況に対する即座の反応が、普通は最も正確だからだ。誰かが見ているかもしれないと気付いていてその最初の反応を隠し、社会で受け入れられる顔の表情に変えるのは、少し後になる。だから両方の表情を見かけたら、まず観察した最初の感情が本物だと考えられる。それが不快な感情ならなおさらだ。