第3126冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著),‎ マーヴィン カーリンズ (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)


人間んは、自分がほかの人に触れてさえもらえない存在だとは思いたくない。カップルがいっしょに歩いているとき、どちらか一方が腕を背後で組んでいるなら、気持ちを抑えているサインだ。この行動は明らかに親密な関係を表してはいない。握手をしようと手を差し伸べたのに相手が手を引っこめてしまったら、どう感じるだろう。体の触れ合いを求めて腕を伸ばしたとき、その求めに応じてもらえないと、私たちは受け入れてもらえなかったと感じ、意気消沈する。


人間の幸福にとって体の触れ合いがとても重要なことは、数多くの科学研究によって実証されてきた。健康、気分、精神的発達、さらい寿命までが、体の触れ合いがどれだけあるか、また好ましく感じる触れ合いがどれだけ多いかによって、左右されると言われている。犬を撫でるだけで人間の心拍数が下がり、落ち着かせる作用があるという記事は、誰でも目にしたことがあると思う。ペットが示す愛情はいつも無条件で、こちらから返礼の心配をする必要もないので、たぶんこれは事実だろう。


人間は動物の種として、触ることを、どう感じるかのパロメーターとして用いることを学んだ。私たちは大好きなものには手を差し伸べ、嫌いなものは手の届かないところに押しやろうとする。汚れたおむつを捨ててもらおうと、誰かに手渡すとき、相手ができるだけ少ない指を使い、体から遠く離しておむつを持とうとするのに気付くはずだ。別に訓練を受けたわけでもないのに誰でも同じようにするおんは、不快なもの、健康に悪いのもの、危険なものを遠ざけるよう、大脳辺縁系が命じているかにほかならない。