第3092冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著),‎ トニ・シアラ・ポインター (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • まわりの人の心を動かす


私たちの動きかたは、まわりの人に大きな影響を及ぼす。ミーティングの部屋に入ったとき、上司がすぐ歩み寄ってきて握手をし、歓迎の言葉をかけてくれる場面を思い出してほしい。それに対して、上司がチラリと視線を上げただけで、ほとんど目も合わせず、挨拶の言葉もない、あるいはなかなか挨拶しない場面はどうだろう。あなたの動きかたも、同じように人に影響を与えることがある。感銘を与え、やる気にさせるか、落胆させ、やる気を失わせるか。


私は検事や弁護士に、陪審員の入廷時には、起立を命じられるのを待たずにすぐ立ち上げあがるよう教えている。機敏に立ち上がるほど心証がよくなる。気を配っていることが陪審員にわかるからだ。法廷での発言でも同じことが言えると、彼らに説明する。一瞬でも大事だと言わんばかりに、毎回すばやく立ち上がって意見を述べる。実際、大切でない時間は一瞬たりともない。陪審員もみんなと同じで、時間を無駄にするのを嫌っている。


怠惰のしぐさは、相手のやる気を失わせる。これまで何度となく、組織が広報担当者などを前面に立てて押し寄せる人に対応させ、上級役員を臆病者のように隠す場面を見てきた。それは、起こった事態に対して堂々と真正面から立ち向かうべきリーダーシップの失態だ。エリザベス女王がダイアナ妃の死に際して何もしなかったことで、どれだけ非難を浴びたかを思い出してみよう。宮廷の外に歩み出して悲しみにくれる人民に会おうとしなかったことで、厳しい目にさらされた。求められていたのは、公の場に姿を見せるという単純な行動だったのに、それが果たされなかったとき、猛烈な批判が巻き起こった。行動しないこと自体が行動であり、人々を狼狽させ、がっかりさせ、王位を退かせるほどの脅威にもなるノンバーバルだ。