第3028冊目 心を上手に透視する方法 トルステン・ハーフェナー (著),‎ 福原美穂子 (翻訳)


心を上手に透視する方法

心を上手に透視する方法

  • 練習すればするほど、「直感力」は磨かれる


僕がハンスの話を紹介したのは、二つの理由がある。


一つは、この話には多くの事実が含まれていて、純粋に説得力があると思うからだ。もう一つは、たいていの人が、自分がそう望めばできるということを知らないからやらないでいることを、馬のハンスがやってのけたからだ。つまりハンスは、問題を出す人の身体言語を、確実に解釈することができたのだ。


ハンスは、飼い主のフォン・オステンがその場におらず、代わりに知らない人が出題しても、問題を解くことができたのだ。出題者がハンスの視界にいて、問題の答えを知っていれば、自分が正しい数を示した瞬間を知ることができた。


僕がとても驚くのは、この馬が想像を絶するほどの大きな成果を示していたのに、ハンスの才能を調査した研究者たちがそこに注目しなかったことだ。身体言語を読み取るには、適切な直感力が必要だ。馬がこのようにして人間の身体言語を解読することができるなら、人間がそれを学ぶこともできるはずだ。


ただし直感力を磨いて完璧を目指すには、絶えず練習しなければならない。どこにいても、機会あるごとに、人間観察をしてほしい。このことに情熱を傾けてほしい。


今度、どこかで待たなければならないとき……病院の待合室や、映画のチケットを買うために並んでいるとき、駅のホームやカフェなどで待つときに、アンテナを伸ばしてほしい。僕自身にとっては、アメリカのマンハッタンとステン島を結ぶフェリーが、人間観察をするための楽園のような場所だ。じつにさまざまなタイプの人が、心理実験室に集まっているようなものである。そういう場所が理想だ。


人間観察をするときは、相手の中に入っていって、その思考に入り込むように試してほしい。


その人の次の行動を予測できるだろうか? もしあなたがその人だったら、次の瞬間にどんな行動をとるだろうか? その人の立場に徹底的に入り込んでほしい。そして念頭においてほしいのは、これはすべて単なるゲームだということだ。うまくいかなくても予想が外れたところで、どうなるだろうか。ちょっと練習しているだけのことである。


でも一つ約束できることがある。練習しているうちに、間違える回数より、「大当たり」の回数が増えてくるということだ。


観察相手が視界からいなくなったら、またほかの観察相手を探してみよう。知らない人で練習して何度も「大当たり」になるようになったら、次は身近な人で練習してほしい。身近にいる人なら表情を詳しく観察することができるし、もしかしたら長い時間かけられることがあるからだ。相手の目の動きを適切に分類できるだろうか。口の形に変化があるだろうか。特定の瞬間に何度も見られる動作や癖などから、何わかることがあるだろうか。そうすると、暇な時間がエキサイティングになる!