第2888冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


  • パワーと誠意4


だからこそ、人間の脳はパワーと誠意に本能的に反応する。脂肪と糖分に対する反応と似ているだろう。私たちの祖先は、脂肪と糖分を積極的に摂取して生き延びてきた。原始の自然において、脂肪と糖分を確保することはきわめて困難だった。こんにちでは脂肪も糖分もありあまるほどだが、本能的な反応は変わらない。カリスマに関しても同じで、パワーと誠意を兼ね備えた人は昔に比べてかなり増えたが、これらの脂質は今も私たちの本能に強く訴えかける。神経画像診断を使った実験からも、他人を評価する際はこの2つの資質を真っ先に判断することがわかっている。


言うまでもなく、パワーも誠意もカリスマに欠かせない資質だ。パワーはあっても誠意がない人でも、周りに強い印象を与えるかもしれないが、カリスマと見なされるとはかぎらない。むしろ傲慢だ、冷たい、よそよそしいと思われやすいだろう。一方で、誠意はるけどパワーがない人は、好感は持たれるだろうが、やはりカリスマと見なされるとはかぎらない。感情が過剰だとか、媚びている、気に入られようとしていると思われやすいだろう。