第2741冊目 ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 G.キングスレイ ウォード (著), G.Kingsley Ward (著), 城山 三郎 (翻訳)


ビジネスマンの父より息子への30通の手紙    新潮文庫

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫

  • 結婚を気軽に考えないで2


おまけに頭がよかったら、その女性を真剣に考慮することを勧める。礼儀作法をわきまえて、服装や君の同僚との会話に気を配れば、なおさらだし、ほんとうの共同経営者として、君と対等に意見を交わす能力があれば、とりわけそうすることを勧める。


君は陽気な人柄やうっとりするような美貌だけで共同経営者を選ぶかもしれないが、君の友人たちは知性や誠実さなど、ときには気品といわれるほかの資質を期待するだろう。


もし君の結婚の投資が非常に適切であれば、君はまたたくまに高みに引きあげられるだろう。これほど威力をもつものはほかには考えられない。すばらしい妻と歩調を合わせるための努力ほど、自分自身の価値を高めるものはないからである。


もちろん、ほかにも考慮しなければならない点はある。その女性は活発だろうか?(なまけ者ではないか)。清潔だろうか?(流しはいつも汚れた皿で一杯ではないか)。ユーモアがあるだろうか?(これはおまけ!)。とはいえ、もし魅力的で、気品があって、頭がよかったら、君はあらゆるものを手に入れるわけにはいかないのだから、あとの多少の欠点は大目に見るように。この肝心の三つがそろっていれば、君の将来はまず安泰だろう。ただし、やがて避けようのない危機に局面したとき、互いに愛情t尊敬の念を持って、一緒に物事を解決することができることが条件である。そして「別れる」とう言葉は君たちの心の中にも、語彙のなかにもあってはならない。


君は友だちの細君たちに会って、心のなかで言ったことがないだろうか。「この女性になら投資してもよかったのではないか?」。もしそうなら、その人たちにはあまり会わないほうがいい。君にはこの種のいざこざは無用である。君自身の完璧な伴侶を探すように。自分がどういう女性を最も好むかを知るために、調査をして分析すること。そして最終的に身を固めるまえに、「より良い」投資物件を見落としていないことを確認するように。よく言われるように、「結婚まえには眼を大きく見開いて、結婚したら半ば閉じておくのがいい」。


ついでながら、調査中に貴重な宝石を見つけたら、「弱気では決して美人の心は掴めない」ことを忘れないように。しかし、麗しの君を口説き落とそうと思ったら、心はもとより頭を働かせて、念入りに計画を練ること。心は抑えがきかなくなると、あらゆるいたずらをしかねない。君は口が利けなくなったり、スープをこぼしたり、間の悪いときに何かにぶつかったり、これをいった理由もないのに食欲を失ったりするかもしれない。だから、せめて相手の自分に対する気持ちがある程度わかるまでは、できれば心の手綱をゆるめないように。


女性は思慮深い男性に弱い。特別の女性が現れたときには、一度だけのデートで終わらせたくなかったら、特にこのことを念頭に置くこと。