第2730冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 第一印象のアピールと従業員の仕事ぶり


割れ窓理論が功を奏してしまい、職場の劣悪な環境が従業員のできの悪い行動を助長している例は、あまりにも多い。ただプロ意識にそぐわない服装をしているだけで、プロらしくない行動が生まれていくのだから、職場環境の細部に心配りがなければ、やがては従業員の態度と行動に影響していく。私は、宿泊するホテルで壁紙が破れていたり幅木がめくれていたりするのを見ると、ここではサービス不足するだろうと覚悟する。支配人がこうした施設管理の怠慢を許すなら、従業員も行動でそれを模倣するようになる。最初は少しだけ、そしてだんだん大胆に。実際のところ、従業員は気配りをしないようにと教育を受けているようなものだ。その結果として、荷物をあちこちにぶつけ、廊下で大声を出し、だらしない服装をし、会社にも自分に割り当てられた役割にも気配りをしなくなる。まもなく、手を抜いて宿泊客の荷物や清掃用カートが廊下や部屋の角にぶつかっても平気なり、壁のすり傷にえぐれた柱も加わって、廊下はボロボロになってしまう。


支配人が施設をいつも修理し、小さいことにも耳を傾けて、気配りをしている態度を示せば、従業員は細部が最も大切だというノンバーバル・メッセージを受け取る。その結果はどうだろうか? 従業員はそれを誇りに思うのだ。私はそういう施設の従業員と話をしたことがあるから、それを知っている。彼らは格別な場所で働くことに誇りを感じる。二流の場所で働くことを目指している人はいるだろうか? 人は自分の職場に、そこに自分がどう貢献しているかに、誇りを持ちたいと願っている。支配人が気配りをすれば、従業員も気配りをし、顧客にはそれがわかる。


もしもあなたがこれまで、自分の期待をはっきり伝えてこなかったのなら、従業員の怠慢ぶりを責めてはいけない。有無を言わせぬ命令を下す必要はない――ただ、はっきり伝えることだ。顧客への応対についての規範を作ればいい。対応するまでの客も待ち時間はどこまで許されるのか? 販売やサービスの担当者はどんな言葉づかいをするのか? 販売とサービスを担当する人物は、とりわけ目につく。あなたの会社の担当者たちは、可能な限り最高の印象を与えているだろうか?