第2720冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • リーダーとみなされるには、人の目につく必要がある


リーダーシップは、誰でもわかるとおり、経営とは別のものだ。リードするとは、リスクをとることであり、先に立つことであり、道を切り開くために気持ちをかきたてることを意味する。これは、社員のために――実際に――「そこにいる」だけで、ノンバーバルによって実行することができる。第二次世界大戦中、希望がすっかり消えていたころ、当時六〇代だったころウィストン・チャーチルは危機と真正面から向かい合って統率力と信頼性を示すことにより、英国民のやる気を鼓舞した。爆弾が投下されたばかりの場所やロケット弾の標的になっている場所で歩く姿を見せるという彼の強い意志が、民衆を奮い立たせたのだった。チャーチルは自らが手本となってリードした。一方、連合軍最高司令官の称号をもつワイト・D・アイゼンハワーは、あらゆる階級の部下が気軽に近づけるように気を配った人物だ。ノルマンディー上陸作戦では、出撃する空挺部隊を自ら出向いて激励した。


これらのリーダーは、言葉によるメッセージを強めるためにノンバーバル・コミュニケーションを用い、それよって生まれた視覚的メッセージは現代でもまだ私たちの心を揺さぶる。戦時の強烈なノンバーバルについて考えると、何が見えるだろうか? 空挺部隊委員に声をかけているアイゼンハワー、戦車を指揮するバットン、海辺で足を濡らして歩くマッカーサー。力があるのは彼らの言葉だけではない。その行動に迫力があるのだ。指揮者として際立って見える姿が、部隊の士気を高め、故郷で待つ同胞を勇気づけた。リーダーシップの定義には、先陣を切り、後ろから続く者立ちを率いるという意味が含まれている。二二歳のマケドニアアレクサンドロス三世(アレクサンダー大王)も、それをよく理解していた。その若さで当時の世界の大半を次々に征服していった王は、ほとんどの対戦国の指揮者とは違って、後方から命令を下しなどしなかった。文字どおり最前線で兵士たちを率い、戦闘に赴いたのだ。もしあなたがリーダーになりたいなら、先頭に立ち、一目に触れなければならない。オフィスに引きこもらず、こまめに歩きわまって、部下と言葉を交わして欲しい。