第2717冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 声のもつ力


矛盾しているように思えるかもしれないが、声にもノンバーバルがある。ニュースキャスターの声は、なぜみな似ているのだろうか? それは深みがあってなめらかな声を真似ようとしているからだ。何度かいっしょに仕事をしたことがあるキャスターのトム・ブロコウも、そういう声をしている。声に蜂蜜のような甘さがある。誰もがそうした声をもっているわけでもなく、私にもないことは百も承知だが、それでも真似ようと試みる。私は緊張すると声が高くなりがちなので、それを克服しようとする努力する。人は甲高い声を嫌い、高い声では尊敬の念を得られない。


二〇〇八年の大統領選挙千のさなか、メディアにはヒラリー・クリントンに対する個人攻撃が数多く見られた。そのなかには、彼女の声は「うるさい」という評論家の意見もあった。女性がリーダーになるには、これまではるかな道のりを歩んできたわけだが――世論では、この先にもまだ長い道が続くことを思わせる意見だった。女性は中性的な声を心がける必要がある。声が「うるさい」という印象を与えたら、または高すぎる、哀れっぽい、暇をもてあました金持ちの女の子たちみたいだとみなされてしまったら、それをもとに判断されることになる。中性的な声を出す心がけは、男性にも当てはまるアドバイスだ。


調査によると、私たちは誰かの声を嫌いになると、その人を遠ざけるか、完全に無視する傾向があるという。不快な声は受け入れられず、悪い印象を与えることができる。もし私が、整形手術をするのと時間をかけて声に磨きをかけるのと、どちらがよいだろうかと相談を受けたら、お金を節約し、声を磨きなさいと忠告するだろう。声の出し方を勉強して身につけた苦労話を、たくさんのニュースキャスターやテレビのパーソナリティーから聞いてきてきた。同じことを、女性の警察官や海兵隊員、また男女を問わず製薬会社の販売担当者も言っていた。彼らが自分の声に磨きをかけるのは、それによって違いが生まれるからだ。低くて深い声ほどいい。