第2670冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • フィードバックを定着させる


ケイティは最近、彼女の学校の求人に応募してきた人との面接で、示唆に富むやりとりを体験した。その志願者(ジリアンと呼ぶ)は2年程度の経験を積んだ若い教師で、模擬授業をすることになっていた。数日前にケイティに授業計画を提出したが、意図はわかるもののまとまりに欠け、乱雑だった。簡単にすませられるところを複数にしていて、重要な手順がいくつか欠けていて、些末なところに無駄な時間をかけ、ところどころ教育評論家のことばを熱心に引用していた。とくに驚くようなことではない。私たちは、やる気のある賢明な人材を雇って職場で育成するのは当然だと思っているし、志願者がフィードバックにどう反応し、それをどう利用するのかを見きわめられる人材採用プロセスの設計に努めている。


ケイティはジリアンと20分くらい話し、模擬授業の内容を見直して、よりよいものにしてほいいと説得した。翌日、ジリアンは授業計画を再提出した。「提案されたところはすべて変更しました」とケイティ宛ての感じのいいメモまで添えられていたが、ほとんど何も変わっていなかった。口ではイエスと言ったのに、行動はノーと言っていた。ケイティは高校教師だったときに同じ気持ちを味わったことを思い出した。作文について、ある生徒に細かいフィードバックを与えたところ、ほとんど前回の丸写しで、ただ丁寧に書き直しただけの「改訂版」を出してきたのだ。その生徒も「先生の提案はすべて取り入れました」と言っていた。


人は「フィードバックを取り入れました」と言いながら、蓋を開けてみると、とんでもないこと――ときにも何もしないより心配なこと――をやってしまうものだ。では、