第2648冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • 実践ではなく反復練習でこそ上達する2


反復練習と実践練習のちがいは微妙なところもあるが、やはり区別することが重要だ。ひとつには、目的がちがう。反復練習の核心はスキルの開発、実戦練習の核心は評価と最終準備だ。学びたいことに最大限の注意を向けたいときには、反復練習を使う。一方、さまざまな疑問の答えを出したいときには、実戦練習が役立つ――試合の準備はできているか、会議の準備はどうか、チームの誰かが準備万端か、誰が実践のプレッシャーにいちばん耐えられそうか。


反復練習はいつ、どのくらいすればいいのだろう。実戦練習がもっとも役立つのはどんなときだろう。それについては、ウェストウッドの魔術師ジョン・ウッデンがまた教えてくれる。ウッデンは、20人の選手が5つのボールを使って、きちんと設計された予測可能な環境で練習するほうが、10人の連取がひとつのボールを使って、予測可能な実践に近い練習をするより効果があることに気づき、ほかの大勢のコーチよりあえて多くの反復練習を――そして少ない実戦練習を――おこなった。彼はこのちがいこそが自分のチームの成功の鍵になると考え、実戦練習は選手の評価のためだけにとっておいた。選手のレベルがわかった段階で、スキルを最大限伝え、習得させることに集中した。これは重要なことだ。実戦練習は楽しいことが多いけれども、手軽なので頼ってしまいやすく、明確な目標のない練習になるおそれがある。


選手のスキルを統合するには、実戦練習で教えるしかないと信じているコーチもいる。しかし、反復練習でも簡単にスキルを統合できる。すでに習得したスキルを統合するための反復練習もあるのだ。たとえば、カーリーとの厳しい実戦練習に入るまえに、ジョージは(アクティブリスニング)と、的外れなコメントを本筋に戻す第2段階の反復練習を追加することもできた。そのときにはカーリーが、議題からはずれた、(アクティブリスニング)を要するコメントを織り交ぜる。やりすぎに思えるかもしれないが、その価値を考えてみてほしい。多くの人は最初の反復練習が終わると、そのスキルを試合に取り入れたり、実戦練習をやってみたくなったりするが、うまくかいないことが多い。かえって不満が募り、混乱を招く可能性がある。段階的なドリルによる練習は、あらゆる分野のチャンピオンコーチが取り入れている。