第2545冊目 できる人の仕事のしかた リチャード・テンプラー (著)


できる人の仕事のしかた

できる人の仕事のしかた

  • 会社の視点で考える


会社の視点で物事を眺めることな大切さに納得できたら、その姿勢をさらに一歩進めてもらいたい。


自分だけで考えているときも、同僚と話すときも、自分自身の問題ではなく、会社が抱える課題や問題を考え、話題にするようにする。こうすることで、自分自身に対しても同僚に対しても、あなはたすでに上司のようなものだと納得させることができる。


私が最初に本を出版したときのことだ。初めてのことなので、本の出来上がりが心配でたまらなかった。表紙はどうなるだろう。手触りやにおいは大丈夫だろうか。


出版社のマーケティンング・マネジャーは、ちょっとしたことで毎日のように電話をしてくる私にうんざりしていただろう。ついにこんなことを言った。


「豆の缶詰だよ、坊や、豆の缶詰だ」


豆の缶詰? 私には意味が分からなかった。


彼の説明によると、本も豆の缶詰と同じで、一つの商品だ。生産され、商店の棚に並べられる。売れるときもあるし、売れないときもある。売れるか売れないかは、棚のどの場所に置かれるか、近くに競合製品が置かれてあるか、景気や天候など、一介の作家にはどうにもできない条件の変動によって決まってくる。


たしかに表紙の色などに気を配れば、売り上げにある程度の影響はあるが、それも数ある条件の一つにすぎない。作者である私の仕事は、まず文章を提供すること。それが終わったら、今度は会社の視点で考えなければビジネスにはならないのだ。


問題が起こると、どうしても自分にどんな影響があるかといったことを考えてしまう。しかし、会社の視点を身につけてしまえば、自分中心の考え方をやめ、会社に与える影響を考えられるようになる。


私はなにも、身も心も会社に捧げた会社人間になれと言っているわけではない。むしろその逆だ。高い視点を持っていれば、正直に自分の意見を言うことに何のためらいもいらなくなるのだ。