第2539冊目 できる人の仕事のしかた リチャード・テンプラー (著)


できる人の仕事のしかた

できる人の仕事のしかた

  • 孤高のいい人でいる


現実は甘くない。周りの人はあなたを大いに利用することを狙っている。貸しを作り、いつか自分の身代わりにしたいと思っている。自分の尻ぬぐいをさせ、嘘をつき、自分の代わりに汚れ仕事を引き受けることを望んでいる。


しかし、あなたはそんなことを超越している。社内政治や、足の引っ張り合いには巻き込まれない。あなたは孤高の存在だ。サメと一緒に獲物を襲うこともなく、自分がエサになることもない。そんなあなたは、周りの人間にとってどんな意味を持つのだろうか?


あなはは静けさの泉だ。嵐の中で無風状態を保つ台風の目。頼りになるチームの大黒柱。常にどっしりと構え、微動だにしない。


誠実さを守るあなたは、すべての基準となる。周囲は、あなたを基準に自分を評価する。あなたが「それはダメだ」と判断すれば、周りの人間もそう考える。あなたが「問題ない」と判断すれば、周りの安心して取り組むことができる。すべてはあなたを基準に評価されるようになる。


あなたの意見はアイデアは無料ではない。あなたが何か助言をするたびに、そこには代価が発生している。その代価とは、信頼だ。あなたは群れと一緒に狩りはしないかもしれない。しかし、群れのメンバーは、信頼できる本物のリーダーを求めるものだ。


大切なのは、親切さ、思慮深さ、誠実さ。いつも明るく、頼りにされる人でいる。自分のためにも、人のためにも嘘をつかないが、必要となれば、それと似たようなことは実行する。思いやりを持ち、周囲の人を守り、人間としても彼らに心から興味を持つ。


仕事術や経営術の本には「いい人になれ」「正直であれ」「誠実であれ」という教えはほとんど出てこない。むしろ、はっきりとは言わないまでも、冷酷で、他人を利用して食い物にする人間が成功するとほのめかしている。


しかしそれでは、猛獣が生き残る弱肉強食の世界となってしまう。そこであなたは本物の人間のあるべき姿をもって実践するのだ。