第2538冊目 できる人の仕事のしかた リチャード・テンプラー (著)


できる人の仕事のしかた

できる人の仕事のしかた

  • 「言うべきとき」と「言うべき時期」を見極める


ここまでで「嘘をつかない」ことも、「隠蔽工作に手を貸さない」こともルールとしてきた。だからといって、何もかも真っ正直に、自分から進んで情報を提供することはない。


嘘をつかないことと、知っていることを洗いざらいしゃべることは同じではない。ときには、知っている内容を少し編集して話したほうがいいこともある。


同僚が何かヘマをしたからといって、すぐに上司のところに駆け込んで報告してはだめだ。一歩引いて状況を静観したほうが、利益になることは多い。あなたがそれを誰にも話さなければ、同僚は恩義に感じ、後で何かしらのお返しをしてくれるかもしれない。


密告が得意な「先生のお気に入り」になる必要はないのだ。周りを冷静に観察し、話すときと、口を閉じているときを見極める。そして、質問をされたら嘘はつかない。


あなたが目指すべきは、優秀な「外交官」になることだ。または「戦いながら最高の手を考える武術の達人」や、「相手に自分の問題を告白させるが、自分の問題については黙っているセラピスト」でもいい。あるいは「すべてを見て、すべてを知っているが、ほとんど口を開かない禅マスターだ」


つまり「言うべきこと」、そして「言うべきタイミング」を心得ている人物になるのだ。


今度、誰かに何かを尋ねられたら、相手の質問の意図を考えよう。


相手は、本当に真実を知りたいと思っているのだろうか? もしそうなら、「あなたのレポートは最低だった」と答えるかもしれない。


もし真実の一部だけが知りたいのなら、「なかなかいいレポートだった。問題なく使えるだろう」と答える。


要点となる真実が知りたいのなら、「いいレポートだったが、内容に穴が多すぎる」と答える。


そして、安心できるような真実が知りたいのなら、「本当にいいレポートだった。気に入ったよ。きみのことも大好きだ。あんなにいいレポートを書くからね」と答えればいい。