第2519冊目 「権力」を握る人の法則  ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

  • 客観的に自分を評価する


自分を変えるためには、まずはいまの自分をありのままに評価して、何が足りないのかを見きわめる必要がある。この足りないところこそ、最も成長が期待できる。とは言え客観的に自分を評価するのはむずかしい。人は誰しも自分のことはよく思いたいので、つい点が甘くなる。自分を批評する人は遠ざけたくなるし、自分に都合の悪い情報は、できることなら無視しようとする。そして、こう言い聞かせる――これまでうまくやってこられたのだから、自分はなかなか優秀である。だからこれからもこのままやってこられたのだから、これからもこのままやっていけばいいのだ、と。エグゼクティブ・コーチングの草分けであるマーシャル・ゴールドスミスも、自らの経験に基づいて書いたベストセラー「コーチングの神様が教えるできる人の法則」の中で、自己弁護に走る癖を直すのはむずかしいと認めている。地位が上がるにつれて身につけるべきものは増えていき、新たなスキルを身につけるにはかなりの努力が必要だから、本人の断固たる意志がかかせない。ところが自分に足りないものがあると認めるのは、自分が思ったほおど優秀ではないと認めることになるため、それができない人がかなり多い。


たとえば家を売りに出すときには、傷や汚れがないか丹念にチェックし、美しく整えなければならない。それと同じように、上をめざすならば、自分自身をチェックして不足を補い準備を整える必要がある。具体的には、本章で取り上げる七つの資質をあなたなりに吟味し、自己評価をしてみてはどうだだろう。それぞれについて1点(自分にはまったく備わっていない)から5点(十分に備わっており、かつ活かせている)で評価してみるとよい。もっともいいのは、誰かに評価してもらうことである。次に、点数の低かった項目を引き上げるにはどうしたらいいか、考える。そして日々努力し、進歩があったかどうか、ときどきチェックするとよい。