第2475冊目 入社1年目の教科書 岩瀬 大輔 (著)


入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

  • チャンスをつかめる人になれ


以前から取引したいと望んでいたお客さまに、念願叶って懇意にしていただけるようになりました。ある日、あなたはお客さまから忘年会のお誘いを受けます。お客さまが特に親しくされている方々との会食に、あなたも合流しないかと誘われたのです。


あいにくその日は、2件の忘年会をかけもちしなければならないほどスケジュールが詰まっていました。さらにもう一件の会食に顔を出すためには、先約の忘年会に腰を落ち着ける時間を短縮しなければなりません。お客さまは、誘いの言葉の最後をこう締めくくりました。


「比較的遅い時間までやっていますが、くれぐれも無理をしないでください」


さて、あなたならどのような行動を取るでしょうか。


2件の忘年会に出席し、カラオケを歌ったため、少々声が枯れています。お酒を飲んだこともあって、眠気を抑えることはできません。時刻は1時を回っています。連日の忘年会疲れで、体調も良くありません。


それでも、僕は誘われた3件目の会食に顔を出しました。こちらもカラオケでしたので、明るい歌を歌って座を盛り上げました。会が開いたのは、午前4時を過ぎたころです。3件目の会食を主催したお客さまからは、末長くおつき合いをしましょうという言葉をいただきました。


3件目の会食に参加した理由は簡単です。初めて取引したお客さまと、ビジネスシーン以外でコミュニケーションを取る絶好のチャンスだと考えたからです。初め受けたお誘いは何があっても参加し、長くおつき合いをしていくための下地作りをしなければならないと思ったからです。


3件目の会食に参加することは、僕にとっての「勝負どころ」だったのです。


大事な局面を迎えている。いまは行かなければならない。勝負どころを的確に判断できない若者が増えていると感じています。


「すごく良いチャンスだから来いよ」

そう水を向けても、こんな答えが返ってくるとがっかりしてしまいます。


「その日はちょっと都合が悪いので、行けません」