第2462冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • カリスマ性があなたの人生を変える


あなたが姿を見せると同時に、部屋にいる人々が気づいて、あなたが何を言うのかと聞きたがり、あなたの関心を引こうと必死になる。あなたがそんな人物なら、どんな人生が広がるだろうか。


カリスマのある人にとって、これはいつもの光景だ。彼らがそこにいるだけで、周りの人々は影響を受ける。誰もが引き寄せられ、その人のためにできるかぎりのことをしたいと思う。カリスマのある人の多くは、不思議なくらい幸福な人生を送るように見える。カリスマのない人より恋愛の機会が多く、たくさん稼いで、ストレスが少ない……というわけだ。


カリスマのある人は、人々から好かれ、信頼され、ついていきたいと思われる。カリスマがあるかないかによって、リーダーと見なされるかどうか、意見が採用されるかどうかが決まり、プロジェクトを効率的に実行できるかどうかが左右される。カリスマのある人が望むことを、周りの人々がすすんでしてくれる。好むと好まざると、カリスマが世界を動かすのだ。


言うまでもなく、ビジネスでもカリスマは決定的な要因となる。転職でも出世でも、カリスマという資質が目標達成を手助けする。複数の研究から、カリスマのある人ほど上司や部下からパフォーマンスに対して高い評価を受け、有能だと見なされることがわかっている。


リーダーにとって、そしてリーダーになりたい人にとっても、カリスマは重要だ。あなたにカリスマがあれば、最も優秀な人材が集まってくるという競争的優位が生じる。人々はあなたと働きたい、あなたのチームや会社に加わりたいと思う。カリスマのあるリーダーに従う人々は、有能だがカリスマのないリーダーに従う人々に比べて、よりよいパフォーマンスを発揮し、より有意義な仕事を経験して、リーダーをより信頼することが、さまざまな研究からわかっている。


ウォートン・スクールのロバート・ハウス教授によれば、リーダーにカリスマがあると、「部下が真剣に取り組み、多大な個人的犠牲もいとわず、義務として要求される以上のパフォーマンスを見せようとする」。


カリスマのある営業担当者は、同じ地域で同僚の5倍の成績をあげる。カリスマのある起業家のもとには投資家が次々に訪ねてくるが、カリスマがない起業家は銀行に融資を乞う。


カリスマの威力は、ビジネス以外の世界でも同じくらい価値がある。たとえば、母親が子どもや学校の教師と向き合い、地域社会の会合で先頭に立つときも、カリスマが役に立つ。大学入試の面接に臨む高校生や、学生組織のリーダーに立候補する学生にとっても、実に有利な武器となる。カリスマのある医師は患者からより好かれ、患者は治療上の指示により忠実に従う。問題が起きた際に、患者が訴訟を起こすケースも少ない。さらに、研究や学問の分野でも、カリスマは威力を発揮する。カリスマのある人の論文は学術誌などに掲載されやすく、産業界からの研究資金が集まりやすく、あるいは人気講座で教える機会に恵まれる。学生が講義後に尊敬する教授を取り囲むのも、カリスマのなせるわざだ。