第2309冊目 入社1年目の教科書 岩瀬 大輔 (著)


入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

  • 苦手な人には「惚れ力」を発揮


以前、ブライダル関係の会社の方に、社内の勉強会で講演をお願いしたのですが、その方の言葉にユニークなフレーズがありました。


「なかなか結婚できない人は、惚れ力を磨け」


結婚相手に求める条件に固執して、あら探しばかりしてはいけない。相手のどこか良いところを探して、そこに惚れる。それが「惚れ力」だろうです。


入社して間もない若手にとって、職場の人間関係は、社内のすべてに感じられても不思議ではありません。上司や先輩との関係がうまくいかないと、それが大きなストレスになることも考えられます。


人間関係をストレスにしない方法、それが「惚れ力」です。職場でも相手の良いところを見るようにしてください。苦手な上司、嫌いな先輩に対しては、なおさら「惚れ力」を駆使すべきなのです。


多かれ少なかれ、誰もが人に誇れる何らかの経験を持っているものです。良いところもあるはずです。欠点は誰にでもあり、悪いところを見るときりがありません。


この上司は話しが長いから苦手だ。そこで終わらせずに、その上司の豊富な経験と知識は勉強になるのではないか、と考えてみてください。そうすれば、頻繁に話を聞きに行こうと考えます。話が長いという欠点は、何か理由をつけて終了時間を決めてからミーティングに入れば解決できます。


この上司は頭の固い親父だから嫌いだ。しかし、軸はブレないしイザというときに頼りになる。そう考えれば嫌いな上司を避ける理由がなくなります。誰にでも必ず得意なところがあり、その部分だけを参考にすればいいのです。


嫌いな部分、苦手な部分は、単なる特徴と捉えればいいです。その人にはどういう強みがあるのか。そう考えなら人とつき合ってみてください。


人は、自分に好意を持ってくれる人を邪険に扱いません。しかし、相手から嫌われているという空気は必ず伝わります。どんなに気難しい上司でも、良いところを見つけて尊敬するば、おそらく嫌われることはないでしょうし、チャンスをもらうこともできると思います。


むしろ、嫌いな人、苦手な人ほど懐へ飛び込むべきだと僕は思います。お昼にでも誘ってじっくり話をすれば、そんなに悪い人でもないかもしれません。


以前、こんなことを言われました。


「岩瀬君は、人の才能を好きになる力がある」


僕の長所は人のことを好きになれることです。人を好きになれば、人の良いところを見出すことができると思います。


世の中、つまらない人、嫌いな人は1割もいないと思います。誰もが面白くて良いと認める人は3割ぐらいでしょうか。半数以上の人は、良い面と嫌な面を両方持った人だと思います。そんな人は、こちらの関わり方次第で良い面をクローズアップすることができるのです。


会社は、様々な特徴を持った人間同士が、家族よりも長い時間を過ごす場所です。だとすると、働くということは、何かを成し遂げる以上に人と人とのやり取りが大切になってくるのではないでしょうか。職場で得る知的な刺激や人との触れ合いで、喜んだり怒ったり泣いたいすることが、本質のような気がしています。