第2282目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・イェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • スキルに名前をつけて共有する


企業間もない会社(そして親になりたての人たち)はみな、名前をつけることの大切さをよく認識している。新しい社名をつけるときには、たいへんな時間と、ときには少なからぬ費用をかけて完璧な名前を探す。自分たちが何者であり、また何者でないかをはっきりと表すような、すばらしい業績を残そうとがんばるスタッフを元気づけるような、自分たちが提供するものに人々を引き寄せるような、そんな名前を選ぶ。平凡で使い古されたものは避ける。なぜなら名前は会社の針路を決めるからであり、今後成長し変化しても、そのすばらしい姿にふさわしい名前でありつづけてほしいからだ。


名前が持つ力ははっきりわかっているのに、チームを育成するときにはその重大な役割を無視しがちだ。日々使うスキルに名前をつけ、いちばん大事なスキルに独自の略称を与えるのは、ひとつの大きなチャンスだ。よく考えて、練習しているスキルや反復練習にぴったりの名前をつければ、強力なツールになる――強力すぎて拒否も無視もできなくなるほどのツールだ。


分離して練習したいスキルに名前をつけることは、チームに共通するひとつの言語を作るということだ。高度なパフォーマンスにつながるスキルについて、スタッフが時間をかけて話し合い、集中して取り組むのなら、名前は論理的で憶えやすいほうがいい。〈100パーセント〉というテクニックは、たとえば「全員」と名づけられた場合よりずっと力強い。そのテクニックについて話し合うときいは、かならず〈100パーセント〉と言う。「全員」では言い表せないテクニックの力強さを表現し、補強する名前だ。もちろん名づけるまえにスキルそのものを見つめなければならないが、見つめるだけでいい名前はつかない。同様に、スキルを根本的に分析せず、たんに名前をつけても、上達したい人に明確に伝えることはできない。スキルの識別と命名の組み合わせが、効果的な練習の設計につながるのだ。一連のもっとも重要なテクニックに名前をつけることで、才能開発に役立つ強力な略語になり、同時に、非常に効率のよい管理ツールにもなる――つねに不足しているもっとも大切な資源、すなわち「時間」が節約できるからだ。共通言語ができることによって、より多くの才能を育てる効率性が生まれる。