第2247目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則

  • エネルギー


ローラ・エッサーマンは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のキャロル・フランク・バック乳ガン治療センターで所長を務めている。エッサーマンは、ほとんど何の権限もない立場から、サンフランシスコ市ひいてはアメリカ全体の乳ガン治療法に画期的な変革をもたらした。しかも医師としてフルタイムで働き、かつ第一子を出産した時期にMBAを取得している。「一休みしてからやろう、なんて言っている人は結局何もできない」と彼女は言う。たしかに放送業界で絶大な影響力を誇るCBS社長フランク・スタントンは猛烈な仕事ぶりで知られ、一日五時間しか眠らない。週末も、である。学校制度改革の旗手でもあるルディ・クルーは、驚くべきことに毎朝三時に起床する。ニューヨーク市教育総長のオフィスに一番乗りするのは、いつもクルーだ。私の知るかぎり、元気のない人が高い地位に就くことはまずない。


エネルギーは、三つの点で影響力の拡大に寄与する。第一に、エネルギーは怒りや満足感と同じく伝染する性質を持つ。したがって、あなたの活力は周囲の士気を鼓舞する。リンドン・ジョンソン大統領は、一九三〇年代に下院議員リチャード・クレーバーグの秘書を務めていた頃、二人の助手をこき使ったという。だがジョンソン自身も死にものぐるいで働いたため、助手はけっして文句を言わなかった。あなたが真剣に取り組めば、その仕事は重要だというシグナルを発することになる。部下は必ずそのシグナルを読み取るはずだ。あなたがやる気を見せれば周囲もその気になる。逆もまた真なり、である。