第2241目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 植え込みのひとつひとつが大切


「緊急対策で、一日じゅう大忙しですよ」。場内整備の仕事に忙殺されながら、警備主任は私にそう言った。アミューズメントパークのブッシュガーデンで、その晩に予想されている深刻な霜の被害に備えた戦略について話していたのだ。霜がおりれば、フロリダ州タンパになる施設では多くの植物がしおれてしまうだろう。しおれた植物はすべて翌朝までに植え替える予定になっていると、彼はさらに次のように続けた。「だめになった苗だけ選んで、一個ずつ植え替えるわけじゃありません。一列全部、新しい植物に替えます。ここに来る人たちは美しい庭を見るために来るんだっていうのが、オーギー・ブッシュの言い分ですから、霜がおりたって関係ありません。お客さんは花を見たいんです。だから温室を作って、いつでも花の苗を準備しています。朝の九時に入園したお客さんも、庭園は魔法をかけたみたいに霜にやられなかったのだと思いますよ」。


以上は極端な例に見えるかもしれないが、実際にはそうではない。それぞれ、顧客の快適さという徹底した使命を会社の最高レベルから末端の細部にまで行きわたらせた、すぐれた例というだけのことだ。先日、家の近くを車で走っていると、フェデックスのドライバーが集荷ボックスの隣にトラックをとめているのが目に入った。よく見ると、ドライバーは窓拭きクリーナーを使って集荷ボックスをきれいに磨いていた。これは快適さを追究する徹底した行動の完璧な例で、人はきれいで清潔という些細なことからも快適さを快適さを感じる。そしてその快適さから、小規模なビジネスも利益を得ることができる。人は美しくて清潔で秩序正しいものに惹かれる。それがすべての人間に備わった性質なのだ。