第2207冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫) ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 手の行動の変化が重要な情報を伝える


すべてのノンバーバル行動の共通点として、手の動きの急激な変化は、その人の考えや感情が突然変わったことを表している。恋人同士が食事中に、お互いの手を急に引っ込めるような光景があれば、何か不都合なことが起きたサインだ。手を引っ込めるのは数秒という短い動作かもしれないが、とても正確な、人の感じていることをその場で伝える指標になる。


ゆっくりと手を引っ込める動作も注目に値する。少し前、大学時代からの友人夫婦に夕食の招待を受けた。食事を終えてテーブルを囲んでおしゃべりをしていると、話題がローンのことになった。二人は金銭問題で困っていると打ち明けてくれた。妻が「まるでお金が消えていくようだ」と不満を漏らすと、夫の手が同時に、だんだんに、テーブルの上から消えていった。妻が話している間に夫は手をゆっくりと引っ込め、最期に膝の上にのせたのを、私は見ていた。このような遠ざかる動作は、心理的逃走(辺縁系の生き残りの機能の一部)の手がかりで、何かに脅かされたときによく起こる。その行動から、夫が何かを隠していることが見てとれた。後でわかったのだが、夫は夫婦の共通口座からお金を引き出してギャンブルに使っており、結局はそのことで家庭まで失う羽目になった。密かに金を引き出している後ろめたさが、テーブルからゆっくりと手を引っ込めた行動の理由だったわけだ。それはゆっくりと手を引っ込めた行動の理由だったわけだ。それはゆっくりした変化だったが、何かがおかしいと思わせるには十分だった。